2014 Fiscal Year Research-status Report
幼若期マウスで生じる神経細胞成熟異常の分子メカニズムと制御法の探索
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26870686
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
萩原 英雄 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (80514504)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 精神疾患モデルマウス / 海馬 / マイクロアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞の“脱成熟”発生時の分子発現変化の網羅的解析:申請者らはShn2欠損マウスの海馬歯状回において、神経細胞の脱成熟は生後2週齢から4週齢の間で始まることを見出している。したがって、この期間を中心として詳細にタイムコースを取り、海馬歯状回の網羅的遺伝子発現解析をマイクロアレイにより行った。生後2週から4週の間で遺伝子発現パターンの変化、とくに“脱成熟”を示唆する遺伝子発現変化が顕著に現れるタイムポイントがあることがわかった。さらに、得られたマイクロアレイデータに基づき各種のバイオインフォマティクスツールを用いて解析を行った。各タイムポイントで野生型マウスに比べてShn2 KOマウスで発現が変化していた遺伝子群について、NextBio、DAVIDによるパスウェイ解析、WGCNAによる遺伝子共発現ネットワーク解析、CONFACソフトウェアによる転写因子解析を行った。NextBio、DAVIDによる解析で、各タイムポインで発現変化する遺伝子群に共有されているアノテーション情報(生物学的プロセス、分子機能など)や分子パスウェイ情報などを得て、神経細胞の脱成熟に伴って変動する分子パスウェイの候補を挙げた。WGCNAは、似た発現パターンを示す遺伝子をクラスタリングすることにより、転写パターンの生物学的な解釈を可能にする。この解析により、Shn2 KOマウスの発達に伴って発現が変化(増加あるいは減少)するいくつかの遺伝子クラスターを見出し、さらにこのクラスターの中から、脱成熟の発生に重要な役割を果たしていると考えられる遺伝子の絞り込みを行った。CONFACソフトウェアを用いた解析により、海馬歯状回の神経細胞の脱成熟に伴って変動する遺伝子群の発現を制御し得る転写因子を見出した。これらの解析で得られた知見は、神経細胞の成熟度変化の制御のためのターゲット選定に役立つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Shn2 KOマウスにおける海馬歯状回神経細胞の成熟度異常の正常化方法の確立にむけて、当初予定していた解析手法に加えて新たな手法を導入することにより、その標的として有望な分子/分子パスウェイが選定された。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度に得られた知見に基づいて、Shn2 KOマウスの分子レベル・行動レベルの異常の正常化を試みる。バイオインフォマティクス解析で絞り込まれた分子/分子パスウェイを薬剤投与や遺伝子導入により操作することで、各種の異常のうちどれが正常化してどれが正常化しないのか、詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
初年度はin silico解析を中心に行い、試薬等の物品の購入頻度が低かったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスの繁殖・飼育、投与薬物等の購入、遺伝子•タンパク質発現解析用の試薬(定量PCR用試薬、プライマー、抗体など)の購入等に使用する計画である。
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