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2014 Fiscal Year Research-status Report

ステロイド服用患者に対する骨格筋加温とストレッチを併用した新たな筋萎縮治療戦略

Research Project

Project/Area Number 26870691
Research InstitutionNihon Fukushi University

Principal Investigator

土田 和可子  日本福祉大学, 健康科学部, 助教 (90610014)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywordsステロイド / 筋萎縮 / ストレッチ / 熱刺激 / 骨格筋 / タンパク質合成 / タンパク質分解 / heat shock protein
Outline of Annual Research Achievements

積極的な身体運動は,ステロイド療法の副作用のひとつであるステロイド筋症(筋萎縮および筋力低下が臨床的に問題とされる状態)の治療や進行予防に有効であるが,臨床で遭遇する患者の中には,原疾患そのものの特異的な病態や二次的な廃用症候群などによって運動制限を有する者も多く存在するため,その代償となる治療法の早期開発が求められている。そこで,本研究では張力刺激や熱などの物理的刺激に対する筋細胞応答に着目し,骨格筋のストレッチまたは熱刺激がステロイド筋症の進行過程に及ぼす影響とその作用機序の解明を行い,臨床応用に向けた科学的エビデンスを集積するとともに,タンパク質合成を促進するストレッチと,酸化ストレスの発生を抑えタンパク質分解を抑制する熱刺激を併用した治療介入が,より効果的かつ効率的に奏効するのではないかという仮説を,培養骨格筋細胞(C2C12筋管細胞)とステロイド筋症モデル動物を用いて検証することが目的である。
まず,ストレッチ効果を検証した実験では,筋管細胞にストレッチを加えると,タンパク質合成系に関わるシグナル伝達分子(Akt,S6K1,ERK1/2など)が活性化(リン酸化)し,肥大が生じることを確認した。また,熱刺激効果を検証した実験では,ステロイド投与により萎縮が誘導される筋管細胞にHsp72発現量の増加をもたらす熱刺激を加えると,その萎縮進行が抑制されるとともに,タンパク質分解系に関わる筋萎縮関連遺伝子(atrogin-1,MuRF1など)発現量の増加も抑制されることを確認した。
今後は,ストレッチと熱刺激を併用した治療介入が,タンパク質の合成能と分解能を相加的に改善できるかどうかを検討していく。また,培養細胞実験で得られた結果を基礎資料として,ステロイド筋症モデル動物を用いて,ストレッチ,熱刺激,またはそれらの併用による治療介入を行い,その効果検証を進めていく。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は,ストレッチまたは熱刺激がステロイド筋症の進行過程に及ぼす影響とその作用機序を解明するとともに,タンパク質合成を促進するストレッチと酸化ストレスの発生を抑えタンパク質分解を抑制する熱刺激を併用した治療介入が,より効果的かつ効率的に奏効するのではないかという仮説を検証することで,ステロイド筋症の治療や予防を目的とした新たな治療戦略の開発に向けた基礎的資料を提供する。
平成26年度においては,まず,培養骨格筋細胞(C2C12筋管細胞)を用いて,ストレッチによりタンパク質合成系に関わるシグナル伝達分子(Akt,S6K1,ERK1/2など)の活性化(リン酸化)と肥大が生じることを示した。また,熱刺激によりステロイド投与に伴う筋管細胞の萎縮進行が抑制されるとともに,熱刺激が萎縮進行抑制をもたらす作用機序のひとつとして,Hsp72発現量の増加を介した筋萎縮関連遺伝子(atrogin-1,MuRF1など)発現量の増加抑制が関与する可能性を示した。
以上の検証は,培養細胞実験に基づくものであるが,その成果はステロイド投与に伴う筋萎縮の治療や予防を目的とした新たな治療戦略の開発につながる基礎的資料を提供することができるものと確信しており,延いては運動制限を有する患者が抱える筋障害に対する安全かつ効果的な治療法の在り方にも示唆を与えることができるものと考えている。

Strategy for Future Research Activity

平成26年度に行った培養骨格筋細胞(C2C12筋管細胞)を用いた実験では,ストレッチにより筋管細胞が肥大することや,熱刺激によりステロイド投与に伴う筋管細胞の萎縮進行が抑制されることなどを確認した。今後は,これらの結果を基に,培養細胞を用いて追加実験を行い,ストレッチと熱刺激がステロイド投与に伴う筋萎縮を抑制する詳細な作用機序を検討する。また,現在,ステロイド投与に伴う筋萎縮の進行過程に対するストレッチと熱刺激の併用効果を検証する目的で,伸張可能なシリコン培地に培養した筋管細胞に対してステロイドを投与し,安定性・再現性高く萎縮を誘導できる培養・刺激条件の検討を進めている。今後は,これらの結果を基に,ストレッチと熱刺激を併用した治療介入がステロイド投与に伴う筋萎縮の進行を相加的に改善できるかどうかを,組織病理学的,生化学的,分子生物学的指標を用いて検討する。次いで,培養細胞実験で得られたデータを基礎資料として,ステロイド筋症モデル動物に対して,ストレッチ,熱刺激,またはそれらの併用による治療介入を行い,その効果検証を行う。

  • Research Products

    (5 results)

All 2015 2014

All Journal Article (1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] エンデュランストレーニングに対する骨格筋の適応2014

    • Author(s)
      岩田全広,松尾真吾,土田和可子
    • Journal Title

      理学療法

      Volume: 31 Pages: 193-207

  • [Presentation] グルココルチコイド誘導性筋萎縮におけるオートファジー関連遺伝子,カルパイン関連遺伝子,ユビキチン関連遺伝子の発現変動2015

    • Author(s)
      土田和可子,岩田全広,田中将斗,大野嘉太,浅井友詞,鈴木重行
    • Organizer
      第19回日本体力医学会東海地方会学術集会
    • Place of Presentation
      名古屋大学 野依記念学術交流館(愛知県名古屋市)
    • Year and Date
      2015-03-07
  • [Presentation] 温熱刺激はグルココルチコイド投与に伴うFOXO3aの活性化とMuRF1の発現増加を抑制する2014

    • Author(s)
      熊谷知恵,土田和可子,坂野裕洋,井上貴行,浅井友詞,鈴木重行,岩田全広
    • Organizer
      第69回日本体力医学会大会
    • Place of Presentation
      長崎大学文教キャンパス(長崎県長崎市)
    • Year and Date
      2014-09-19 – 2014-09-21
  • [Presentation] メカニカルストレスによる骨格筋の糖取り込み亢進作用はCaMK IIを介する2014

    • Author(s)
      佐藤亜耶,土田和可子,坂野裕洋,井上貴行,浅井友詞,鈴木重行,岩田全広
    • Organizer
      第69回日本体力医学会大会
    • Place of Presentation
      長崎大学文教キャンパス(長崎県長崎市)
    • Year and Date
      2014-09-19 – 2014-09-21
  • [Presentation] 温熱刺激が悪液質(カヘキシー)による骨格筋萎縮の進行を抑制する可能性2014

    • Author(s)
      岩田全広,名倉広絵,塚田有佳子,土田和可子,坂野裕洋,秋本崇之,鈴木重行
    • Organizer
      第69回日本体力医学会大会
    • Place of Presentation
      長崎大学文教キャンパス(長崎県長崎市)
    • Year and Date
      2014-09-19 – 2014-09-21

URL: 

Published: 2016-06-01  

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