2016 Fiscal Year Research-status Report
筋肉・脂肪組織由来の新規生理活性物質からみた心疾患患者に対する運動療法の効果
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26870702
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
沼尾 成晴 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (90454074)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マイオカイン / アディポネクチン / 心疾患 / 運動教室 / 運動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
心疾患患者において、運動療法の継続が生理的機能の改善を引き起こすことが知られている。その改善に筋肉組織や脂肪組織から分泌される生理活性物質(マイオカイン、およびアディポカイン)が寄与する可能性がある。しかしながら、心疾患患者において、血中のマイオカインやアディポカインに対する運動療法継続の影響は検討されておらず、さらにそれらの変化が生理的機能と関連するかは明らかではない。そこで、本年度は運動教室に登録された心疾患既往者を対象にマイオカイン、アディポカインと心臓・血管機能、冠動脈危険因子との関係を縦断的(1年間)に検討した。 本年度は、前年度測定に参加した25名のうち、19名(平均年齢76.1歳)が再測定に参加した。著しい体重変化のあった1名を除外し、対象者を運動教室の継続的参加群(運動教室継続群)と不参加群(運動教室非継続群)に分類し、マイオカイン、アディポカイン、心臓・血管機能、および冠動脈危険因子に関する項目の変化を比較した。また、それらの項目の1年間の変化を算出し、マイオカイン、アディポカインと心臓・血管機能、冠動脈危険因子との関連を検討した。 マイオカイン、アディポカイン、心臓・血管機能、および冠動脈危険因子の項目の1年間の変化は、運動教室継続群と運動教室非継続群で有意差は認められなかった。一方、マイオカインおよびアディポカインの変化と心臓・血管機能、および冠動脈危険因子との間に有意な相関関係が認められた。 1年間の運動教室継続が心疾患患者のマイオカイン、アディポカイン、心臓・血管機能、および冠動脈危険因子に及ぼす影響は小さかった。しかしながら、心疾患患者においてマイオカインおよびアディポカインの変化は心臓・血管機能や冠動脈危険因子の変化と関連した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究結果に及ぼす季節変動などの影響を考慮し、本年度も前年度と同様の時期に測定を開始したため、一部のデータの取得が遅れている。しかしながら、今後の測定計画は確定しており、次年度において、当初からの計画で取得予定であったデータ全てを収集することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで本研究に参加し、2年間追跡調査が可能である心疾患既往のある中高齢者の心臓・血管機能検査、血液検査(冠動脈危険因子、マイオカインおよびアディポカイン)、および身体活動量調査の結果について2年間の縦断的な変化を検討する。そのことにより、運動療法の2年間にわたる長期的継続が、生理的機能やマイオカインおよびアディポカインに及ぼす具体的な影響を精査し、その上でそれらの関連性を明確にする。
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Causes of Carryover |
前々年度および前年度と測定時期を合わせるため検査計画の遅れから、血液分析の一部を実施できなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越した次年度使用額はすべて血液分析の費用として支出する予定である。
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