2015 Fiscal Year Research-status Report
ヨーロッパの多文化社会における子どもへの性的虐待防止に関する社会学的研究
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26870705
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
見原 礼子 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (70580786)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヨーロッパ / 多文化社会 / 性的虐待防止 / 子どもの権利条約 / 性的搾取及び性的虐待子ども保護条約 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、欧州評議会の性的搾取及び性的虐待子ども保護条約の特徴と履行状況に着目して研究を行った。とりわけ本年度は、2013年に開始された第1回モニタリング・ラウンドに含まれていた第6条(性的虐待防止のための子どもを対象とした教育や情報提供)に関する履行状況の問いに対する批准国すべての回答を分析し、①学校教育の中で性的虐待防止に関する情報や活動を取り入れているか否か、取り入れている場合どのような科目で扱われているか、②学校教育外での性的虐待防止活動としてはどのようなものが展開されているか、③社会構成員の多様性(移民・難民等)への配慮はなされているか、を中心に明らかにした。また、欧州評議会が性的虐待防止を目的として作成した教材の分析も行い、これらが実際にどのような場面で用いられているのかをモニタリングの回答から明らかにした。 セーブ・ザ・チルドレンのスウェーデン支部が刊行した子どもの性的虐待加害者の治療に関する著書(Anders Nyman, Olof Risberg, and Borje Svensson, Young Offenders: Sexual Abuse and Treatment, Save the Children Sweden, 2001)の翻訳作業も引き続き行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究計画のうち、欧州評議会の性的搾取及び性的虐待子ども保護条約に関する分析は順調に実施できた。3月に予定していたオランダ・ベルギーの行政機関・専門機関への出張は先方の都合がつかず来年度に持ち越しになったが、来年度の研究計画で調査・分析を予定していた資料を早めに入手することが可能になったため、当初の計画以上に進展している部分もある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までは育児の関係で長期的な調査は実施することができなかったが、今後は研究計画上、フィールドワークが主たる研究活動になるため、積極的に現地での情報収集とフィールドワークに注力し、その結果を学会発表と論文で公表してきたい。
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Causes of Carryover |
3月に予定していたオランダ・ベルギーの行政機関・専門機関への出張が先方の都合がつかず来年度に持ち越しになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
①来年度は当初の計画に加えて国際学会での発表を行う準備も整ったため、その予算に充てる。②フィールド調査の期間を当初の計画より数日長くすることにより、より厚みのある情報収集を目指す。
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