2014 Fiscal Year Research-status Report
約款の不当条項規制論の再構成―労働契約におけるその意義
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26870706
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
石上 敬子 同志社女子大学, 現代社会学部, 助教 (50609154)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 定型約款 / 不当条項規制 / 就業規則 |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度の研究実績は、日本法部分が中心となった。 まず、民法関連部分については、民法改正の最新動向を継続的にチェックし、「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」(平成26年8月26日決定)までの経緯および内容のうち、「約款」および「雇用契約」にかかる部分についてまとめたものを、関西若手研究者民事判例研究会の民法改正特別研究会(当年度9月)において報告した。その後、「民法(債権関係)の改正に関する要綱案」(平成27年2月10日決定)が出され、3月末には法案が国会に提出されるに至ったが、これら最新の内容およびそれに対する研究等の調査を加えたものを論文としてまとめている最中であり、平成27年度前期のうちに大学紀要等において公表予定。 概要としては、「定型約款」と新たに定義された「約款」にかかる規律は、当初の案から大幅に縮小された。とりわけ不当条項規制にかかる規律は、判断基準としては消費者契約法10条の一般規定に若干の具体的考慮要素を加えるものとなったが、採用規制(締結規制)と一体として、定型約款準備者の契約相手方の「合意」を擬制する規律に大きく変更された。このことは、一方では規制効果の萎縮を懸念させるものであり、また他方では、就業規則に関する労働契約法7条との文言上の乖離が以前以上に広がることとなり、両者の関係について、次に述べる研究も踏まえて慎重な分析が必要となるものと考える。 労働法関連部分については、就業規制に関する判例の収集を一通り終えたところであり、平成27年度には整理・分析作業にうつる。 ドイツ法部分については、平成23年頃までの研究成果の見直し、まとめの作業中。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ドイツ法部分の見直し作業、および研究成果の論文としての公表が遅れた。主な理由は日常業務との時間配分、および妊娠(当年度後期以降)に伴う体調不良。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、日本法の民法改正にかかる研究成果をほどなく公表後、まずはドイツ法部分の見直し・公表を前期のうちに進める。妊娠・出産のため前期は講義負担が大幅に減らされており、体調も安定するようになったことから、当年度に比べて研究に配分できる時間の余裕が増えており、育児に関しては勤務先の規定により育休取得はできないものの、家族の協力・分担が期待できる見通し。ただし、研究への負の影響が継続した場合には、資料収集・整理等にアルバイト等を活用することを検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度の後半、妊娠による体調不良により研究が滞り、資料収集の遅延、学会の欠席等が重なって支出額が低くなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度と同じ状況を繰り返さないよう、体調不良等の場合にはアルバイトを活用して遅滞なく研究を進める。
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