2015 Fiscal Year Research-status Report
文化産業のグローバル展開をめぐる研究――フィンランドのマンガ出版を事例として
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26870707
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Research Institution | Hanazono University |
Principal Investigator |
秦 美香子 花園大学, 文学部, 准教授 (90585358)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マンガ文化 / 海外普及 / フィンランドのマンガ文化 / 日本マンガの翻訳出版 / 文化交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバル化する日本の文化産業の実相を明らかにするのが本研究の目的である。分析の焦点は、日本のマンガ文化と、それを受容する国のコミック文化との相互作用に置く。調査の対象とする事例は、日本のマンガのファン文化が近年発達し、また現地のコミック文化も100年ほどの蓄積がありながら、これらを対象にした学術研究がいまだ日本ではほとんど行われていないフィンランドである。 2015年度は、日本マンガに関心を持ち現地でイベントを運営するファンに聞き取り調査を行った。 詳しくは、2015年8月および2016年2月に現地調査および研究協力者との間で情報交換を行った。その結果、日本文化に関するイベント「DESUCON」の立ち上げないし運営に関わったメンバーへの聞き取り調査、高橋よしひろ『銀牙』に特化したイベントを運営するファンに対する聞き取り調査、現地のマンガ文化に関する調査、現地で発表された日本のマンガや現代文化に関わる先行研究の収集を行った。 研究の成果報告としては、2014年度の研究に関して日本マンガ学会第15回大会でポスター発表を行い、2015年度の研究に関して2016年3月発行の『花園大学文学部研究紀要』に論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
具体的には計画変更を行った。申請時にはフィンランド国内で行われるコンベンションに参加する予定であったが、学内業務の都合により開催時期に海外出張することが難しく、計画を断念した。またフィンランドのコミックがどのように評価され世界的に受容されているかを特に国外の視点から明らかにするためにアングレーム国際漫画祭に出席する予定であったが、これも学内業務の都合により不可能であった。 これらの海外調査については断念することとなったが、それ以外の調査、考察はおおむね予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は前年度に調査が出来なかったフィンランド国内のファンコンベンション(Tracon)の調査を行う。 また予定通り、成果を出版するための執筆を行う。申請時に予定していた『Scandinavian Journal of Comic Art』への投稿は、雑誌の執筆応募要件(特集テーマ)が本研究に該当しなかったため投稿を断念した。そのため成果の公開は、申請時に予定していた(1)日本社会学会での成果報告(口頭)および(2)一般向け著作『Finnish Manga:グローバル化する日本マンガのフィンランドにおける展開(仮)』によって行うこととする。執筆は調査の遅れを考慮し、2017年2月までをめどに行うこととする。
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Causes of Carryover |
前述の通り、予定していたフィンランド国内およびフランスでの調査が実施できなかったため、2015年度の使用額が変更となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
申請時からの予算の減額を考慮し、フランスでの調査は断念することとする。フィンランドでの現地調査は2016年度に繰り下げて実施する(2016年9月3~4日、Tracon)。
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Remarks |
研究成果を学術的な形式にこだわらず一般に公開するための場として作成した。
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