2018 Fiscal Year Annual Research Report
A comparative study of community revitalization activities of polluted areas that realize inclusiveness and environmental justice
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26870718
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
清水 万由子 龍谷大学, 政策学部, 准教授 (60558154)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 公害経験継承 / 負の遺産 / SDGs |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、引き続き(1)公害経験の継承に関する実践的倫理の言語化と研究成果公表に取り組むとともに、(2)公害経験継承を巡る公害資料館への追加インタビュー調査を行った。 (1)については、公害経験継承の実践的倫理の言語化の一つの手がかりとしてSDGsを参照した事例分析を、講演「公害地域の「今」からSDGsを考える」(環境三学会合同シンポジウム2018、2018年6月23日、明治学院大学)にて報告した。大阪市西淀川区の公害地域再生の取組みの意義をSDGsの17の目標を参照して試論的に考察した。加えて、公害資料館連携フォーラム企業分科会においてもSDGsをテーマとして加害者と被害者の信頼関係構築過程が検討された。研究代表者は出産によりこの部分に直接的に関与することができなかったが、公害経験の教訓を共有するうえで人権保障をベースにしたSDGsの活用可能性を確認した。また、公害経験の継承における実践的倫理の言語化において、薬害、ハンセン病者への差別などの人権侵害事案や、戦争遺跡などのいわゆる「負の遺産」の継承に関する取り組みから示唆を得るため、事例研究の収集分析を行った。 (2)については、富山県立イタイイタイ病資料館および清流会館においてインタビュー調査を行った。資料の保存・活用において被害者団体がイニシアチブをとり、県立資料館の展示制作においても資料館と被害者団体の密な連携がとられていることが明らかになったが、原因企業による経験継承や、被害者運動の意義についての継承は容易でなく、県立資料館のみではなく学校や地域組織など様々な主体の連携による経験継承に課題があることも明らかになった。加害者・被害者だけでなく多様な主体による公害経験の再解釈と継承が取り組まれる場合には、公害地域再生運動と同様に法的・経済的な被害救済に留まらない環境正義回復の可能性があることが示唆された。
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Research Products
(1 results)