2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26870727
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
高橋 智一 関西大学, システム理工学部, 准教授 (20581648)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 汎用ロボットハンド / 真空吸着グリッパ / タコ / 微細構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では汎用ロボットハンドの開発のためタコの吸盤を模倣した真空吸着グリッパを提案した。また強い吸着力を有するタコの吸盤の吸着機構の解明を目的とした。まずタコの吸盤の吸着動作や吸盤表面にある微細構造を観察した。タコの吸着動作の観察では生き物が対象であるので把持力の測定は困難であったが、模倣に必要な吸盤にある漏斗状の外形や微小な突起と溝の寸法は測定できた。次にタコの有する微細構造の効果を調べるため、タコの吸着原理と吸盤の漏斗形状や微細構造を模倣したハンドを試作して吸着性能の比較を行った。既にタコの吸着原理の模倣は過去に行っている。 本研究では吸盤構造の特性を調べるため、個々の構造(微小突起、溝、漏斗形状)を模倣したハンドを試作した。微小突起があるとハンドの吸着力と剥離するせん断力が向上した。ハンドに突起がない場合,ハンド内圧を下げたことでハンドが収縮し吸盤が歪む。これにより吸着力が減少する。しかし突起を有するハンドでは、吸着界面の摩擦力が増大するため吸盤形状を維持できる。これにより吸着力が1.1倍となった。吸着面に対してせん断方向の力を増大するとハンドは剥離するが、突起により摩擦力が増大するので剥離するせん断力も増大した。なお微小突起(直径2μm、ピッチ4μm、高さ1μm)は単一の吸盤を有する直径14 mmのハンド底面に一様に形成した。 次に溝や漏斗形状は吸盤の形状追従性を向上させると考えられる。ここで吸着時にハンドは対象物に押し付けるが、形状追従性が高ければこの押付力は低くなるはずである。実際に漏斗形状を有するハンドの押付力は従来の0.7倍となった。溝も同様に追従性が向上するはずであるが押付力に大きな差はなかった。これはハンドの材質はタコと異なるため寸法が適当でなかったと考えられる。以上のことからタコの吸盤構造を模倣することは真空吸着ハンドの性能向上に有効であると考えられる。
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