2016 Fiscal Year Research-status Report
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26870735
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
河瀬 諭 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (90507469)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 音楽 / 合奏 / インタラクション / コミュニケーション / アンサンブル / 音楽教育 / 観客 / 社会的スキル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、音楽場面において、コミュニケーションやそのスキルが、演奏者や観客に与える影響について検討することである。本年度は、筆頭著者として論文が受理・出版された(Kawase & Obata, 2016, Consciousness and Cognition)。内容は、2つのパートからなる声楽デュオの歌唱を観賞する際の、それぞれの歌手のパートや行動が、観客の視覚的な注意に与える影響について、計測・分析したものである。本研究は、演奏者間の行動が、演奏者-観客間のマルチモーダルなコミュニケーションに与える影響を検討するために行われた。その結果、以下が示唆された。(1)曲全体を通して、主旋律のパートに対して視覚的な注意がより向けられた。(2)歌手が共演者に視線を向けることで、共同注意が生起した。このことは、演奏者どうしの視線行動が、演奏者-観客間のコミュニケーションにとって、スポットライトのような役割を果たすことを示唆している。(3)ただし、このような視線によるスポットライトの効果は限定的であり、視聴者の視覚的な注意には、音楽パートが大きな影響を与えていた。本論文は、オープンアクセス化し、アクセスしやすいかたちにした。本研究成果は、海外の心理学系のニュースサイトにもとりあげられ、メールによるインタビューも掲載された。このほかにも、アウトリーチ活動も積極的に実施し、音楽教室などでの講演も行った。 また、ピアノ演奏を対象とした実験も実施し、その分析結果を国際会議に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、主に演奏者と観客のコミュニケーションについて検討した。成果発表として、国際誌に論文が採択された。また、新たに実験も実施し、アウトリーチ活動も行った。これらの研究活動を通じ、当初想定していた仮説にくわえ、新たな知見も得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
残りの実験を遂行するとともに、学会発表等の成果発表や、アウトリーチ活動を行う。
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Causes of Carryover |
さらなる実験参加者(熟達した演奏家)に協力していただくため、次年度にも実験を実施するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
熟達した演奏者への謝金、成果発表などに伴う費用として使用する。
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