2014 Fiscal Year Research-status Report
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26870741
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Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
林 幸史 大阪国際大学, 人間科学部, 准教授 (10567621)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 観光写真調査法 / 観光地の魅力 / 観光経験 / 観光心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、旅行者と居住者が撮影した写真の分析を通して観光地の魅力を明らかにすること、新しい調査手法としての観光写真調査法を確立することの2点を目的としている。 平成26年度は、歴史観光地である奈良市と都市観光地である大阪市の宿泊施設において旅行者を対象とした観光写真調査を実施した。これまで、次のような観光写真調査法の利点と課題を見出した。 まず、従来の写真調査法の分析では、第3者による撮影対象の分類が一般的であったが、撮影者自身に写真を分類してもらうことが有効であることが分かった。なぜならば、観光地の何が旅行者にとって魅力的であるのかを把握できるだけでなく、撮影対象に対する旅行者の意味づけを浮かび上がらせることができるからである。これによって、一つの観光資源が内包する複数の魅力や価値を見出すことができる。それぞれの観光資源がもつ魅力は単一ではなく、旅行者のとらえ方によって個人差があることが分かった。次に、個々の観光資源や観光経験を被写体とした1枚の写真からは把握しにくい魅力や価値があることも分かった。これに対しては、写真の分類結果を撮影者自身に俯瞰してもらい、その印象等を尋ねることで補完していくことを考えている。最後に、観光地の資源やそこでの経験に対するネガティブな評価は、観光写真には反映されにくいということも分かった。写真を撮影するという行為自体、被写体に対するポジティブな態度の表れである場合が多いため、観光地の魅力低下につながる対象や経験は把握しにくいのである。この点は、旅行者に写真撮影を依頼する際の教示を工夫するなどして対応していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの達成度を上記のように評価した理由は、宿泊施設で実施している観光写真調査において、日本人旅行者の調査協力に比べて、これまで外国人旅行者の調査協力が十分に得られていないことと、平成26年度に予定していたweb調査の実施を次年度に持ち越したことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、観光写真調査と質問紙調査を同時に実施することで、個人の撮影傾向と質問紙で測定された観光地の魅力や満足度との関係を明らかにする。これによって、観光写真調査法だから把握できる魅力の側面を明らかにしていく。調査は、観光案内所を訪れた旅行者を対象に夏から秋にかけての実施を予定している。それに先だって、観光地の魅力を測定するための尺度作成を目的としたweb調査を実施する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に実施予定であったweb調査を次年度に持ち越したことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度の繰り越しに次年度経費の一部を加え、web調査のための業務委託費とする。
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