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2015 Fiscal Year Research-status Report

集団行動における行為の主体感と行動モニタリングの変容メカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 26870752
Research InstitutionNational Institute of Advanced Industrial Science and Technology

Principal Investigator

木村 健太  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 自動車ヒューマンファクター研究センター, 研究員 (40589272)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords行為主体感 / 行動モニタリング / 事象関連脳電位
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は社会的状況における行為の主体感が行動モニタリングを調節する生物学的メカニズムを明らかにすることである。昨年度までの研究では,実験室に社会的状況を導入する実験環境を構築し,集団意思決定課題中の脳波を計測することで事象関連脳電位のフィードバック関連陰性電位(FRN)とθ波が行動結果の評価的処理を反映することを明らかにした。
本年度は,集団状況における立場の違いがどのように行動モニタリングに影響を及ぼすかを検討した。3名の小集団がリーダー制に基づきカードを選択するギャンブル課題を用いた。リーダー制では,3名のうち1名がリーダーとなり,2枚のうちどちらのカードを選択するかを最終決定する。他の2名はフォロワーとなり,カード選択はするものの最終的にはリーダーの決定に従う。このような実験操作を集団意思決定課題において実施した上で,課題遂行中の3名から同時に脳波を計測し,集団意思決定に伴う結果の提示により生起する脳波を検討した。
実験の結果,集団意思決定課題の結果が金銭損失のときには,金銭獲得のときに比べてFRNおよびθ波のパワー値が大きかった。金銭損失のときのFRNおよびθ波のパワー値はリーダーとしてカードを選択したときの方がフォロワーとしてカード選択をしたときよりも大きかった。加えて,リーダー時,フォロワー時にかかわらず,他者と同一のカードを選択したときには,他者と異なるカードを選択したときに比べてFRNおよびθ波のパワー値が小さかった。
FRNおよびθ波のパワー値は,行動結果の重要性を反映する。このことから,本研究の結果は,リーダーとして最終決定を行うときにはフォロワーのときと比べて集団の意思決定結果に対する重要性が高いこと,集団内に社会的な立場の違いがあるときでも他者との選択の共有は主体感を低下させて行動結果の重要性を低減することを示唆する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度では,集団状況における立場の違いがどのように行動モニタリングに影響を及ぼすかの検討を目的とした。ここまでの研究により,実験室に社会的状況を導入して参加者の脳波,自律神経系活動を計測する実験的基盤を確立すること,確立した実験状況での集団意思決定における行動モニタリング機能について検討することは可能となっている。加えて,本年度の研究により,集団状況における立場の違いが脳波に及ぼす影響を明らかにすることができた。しかしながら,集団状況における自律神経系活動についてはいまだ明らかではない。このため,研究計画はおおむね順調に進展しているものの,改善の余地は残されているものと自己評価した。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究では,これまでに確立した実験環境を利用して,より広い社会的状況における行動,脳波,自律神経系活動の計測を行う。特に,自らの行動に対する確信度の高いときと低い時で,社会的影響が行動モニタリングに及ぼす影響がどのように変容するのかを検討する。また,他者との関係性,特に集団の凝集性や親密度が行動モニタリングに影響を及ぼすか否かを検討する。これらのためには,適切な実験操作方法の確立が急務となる。今後の研究では,これらの実験操作方法の確立を目指した予備実験を行った後,本実験を実施する。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由として,実験実施数が予定よりも少ないことによる謝金支出が当初計画よりも少なかったことをあげることができる。これは,実験手法の確立及び実験環境のセットアップにかかる時間が当初の予定よりも長く,計画よりも実験の実施数が少なくなったことに起因する。

Expenditure Plan for Carryover Budget

今後の使用計画として,次年度の研究において実験の実施数を増やすこと,これまでの研究成果を積極的に発信するために学会参加及び国際誌投稿にかかる英文校正費用などを増やすことを計画している。加えて,過去の所属で実験を遂行するだけではなく,現所属において研究を遂行するためにも新たな実験機器の購入を計画している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2015

All Presentation (3 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Presentation] 社会的状況における行為結果の処理過程の評価2015

    • Author(s)
      木村健太
    • Organizer
      日本臨床神経生理学会学術大会
    • Place of Presentation
      大阪国際会議場
    • Year and Date
      2015-11-06 – 2015-11-06
    • Invited
  • [Presentation] フィードバック関連陰性電位を用いた行動結果の処理過程の検討2015

    • Author(s)
      木村健太
    • Organizer
      日本生体医工学会 専門別研究会マルチモーダル脳情報応用研究会
    • Place of Presentation
      東京電機大学
    • Year and Date
      2015-10-06 – 2015-10-06
    • Invited
  • [Presentation] 集団意思決定への責任が選択結果の評価に与える影響 ―事象関連脳電位を用いた検討―2015

    • Author(s)
      木村健太,澤田広樹,片山順一
    • Organizer
      日本生理心理学会
    • Place of Presentation
      グランフロント大阪
    • Year and Date
      2015-05-24 – 2015-05-24

URL: 

Published: 2017-01-06  

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