2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26870761
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
関 和俊 流通科学大学, サービス産業学部, 准教授 (30552210)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脊髄α運動ニューロン / 日内変動 / H反射 / 自律神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
日内変動に伴う安静時の運動単位の動員閾値変化と自律神経系機能及び体温との関わりについて検討を行った。交感神経系活動を賦活させる手法として寒冷昇圧試験(CPT)を、副交感神経系活動を賦活させる手法として顔面冷却刺激(CFT)を実施した。 実験対象者は健康な若年男性を対象とし、午前(8時~10時)、午後(16時~18時)に実験を行った。午前の心拍数、心臓副交感神経系調節および体温は、午後に比べて、心拍数および体温は有意に低値(P<0.05)、心臓副交感神経系調節は有意に高値(P<0.05)を示した。このことから、今回の対象者は日内リズムを有する者であった。 実験1:CPTに伴うH 反射変動(午前vs.午後)について。CPTに伴い、両条件(午前および午後)ともに心拍数、心臓交感神経系調節および血圧は有意に高値(P<0.05)を示した。このことから、CPTによって交感神経活動を賦活することができたものと推測される。CPTに伴うH反射変動は、両条件間の潜時に有意な差は観察されなかった。振幅はCPT中に両条件ともに有意に増大(P<0.05)する結果が得られたが、両条件間には有意な変化は観察されなかった。実験2:CFTに伴うH 反射変動(午前vs.午後)について。CFTに伴う血圧の変化は午前および午後において有意な差が観察されたものの、H反射変動(潜時、振幅)に関しては、両条件間に顕著な変化は観察されなかった。今回の実験から得られた知見としては、生体が持つ日内変動に伴う自律神経系活動の変化に加えて、自律神経系賦活化試験による自律神経系の変動に対するH反射の応答は午前と午後での違いは観察されなかった。現在、データの再現性を確認するため、同一対象者にてデータ収集を行っているところである。今後は、運動に対する変化についても検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26 年度は自律神経賦活化試験に伴う運動単位の動員閾値に関する研究(安静実験)を実施した。健康な若年男性を対象とし、午前(午前8時~10時)、午後(16時~18時)にそれぞれ実験を行った。実験対象者の午前の心拍数、心臓副交感神経系調節および体温は、午後に比べて、心拍数および体温は低値、心臓副交感神経系調節は高値を示すことから、今回の対象者は日内リズムを有する対象者であった。 実験1:寒冷昇圧試験(Cold presser test ; CPT)に伴う交感神経賦活化試験に伴うH反射変動について検討を行った。CPTに伴い、両条件(午前および午後)ともに心拍数、心臓交感神経系調節および血圧は高値を示した。このことから、CPTによって交感神経活動を賦活することができたものと推測される。CPTに伴うH反射変動は、両条件間に潜時に有意な差は観察されなかった。振幅はCPT中に両条件ともに増大する結果が得られたが、両条件間に有意な変化は観察されなかった。実験2:顔面冷却刺激(Cold face test; CFT)に伴う副交感神経賦活化試験に伴うH反射変動について検討を行った。CFTに伴う血圧の変化は午前および午後において有意な差が観察されたものの、H反射変動(潜時、振幅)に関しては、両条件間に顕著な変化は観察されなかった。CFTの刺激は交感神経系活動にも影響を及ぼすことがあり、さらなる検討が必要である。今回の実験から得られた知見としては、日内変動に伴う自律神経系活動動態に加えて、自律神経系賦活化試験による自律神経系の変化に対するH反射の変化は午前と午後での違いは観察されなかった。なお、平成26年度に計画していた実験が全て終了できていない。現在、データの再現性を確認するため、同一対象者にてデータ収集を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27、28年度にかけて、運動後の運動単位の動員閾値に関する研究(運動実験)『実験3:低強度、実験4:中強度、実験5:高強度ハンドエルゴメーター運動後のH 波の振幅及び潜時の変動 (午前vs.午後)』を実施する。対象者は健康な若年男性とし、実験3~5は全て同一対象者とする。現在、実験内容の趣旨説明を行い、対象者の確保を行っている。測定項目はH 反射(振幅、潜時)、心臓自律神経系調節、直腸温、ヒラメ筋皮膚温とする。測定方法は、伏臥姿勢にて安静時の測定項目を測定する。その後、座位姿勢において、ハンドエルゴメーター運動を行わせる。運動時に、被験筋であるヒラメ筋の筋活動が生じないように、オシロスコープ上でモニタリングする。対象者は運動終了後、伏臥位姿勢を保つ。回復時間は30 分間とし、各測定項目を5分毎に測定を行う。実験条件は、午前及び午後の2条件とする。自律神経系は、日内変動、食事、前日の激しい運動など様々な因子によって変動するため、対象者には特定の制限を行う。各実験の運動強度・時間は、【実験3】低強度30% peak VO2・10 分、【実験4】中強度60% peak VO2・10分、【実験5】100% peak VO2・疲労困憊までとする。実験方法に関しては方法論を確立しているため、実験環境が整い次第、実施する。 また、平成26年度にて実施した『実験1』 寒冷昇圧試験に伴うH 反射の変動(午前vs.午後)、『実験2』 顔面冷却刺激に伴うH 反射の変動(午前vs.午後)の再現性を継続してデータ収集中である。十分なデータ数を収集後に実験協力者とデータ討論会を実施する。 これまで得られた結果は、学会発表を実施し、学術的な評価を受ける。また、再現性のデータも含め、原著論文として学術雑誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に計画していた実験の遂行が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験対象者への謝金、研究資料収集・研究成果の発表、実験・論文打ち合わせのための旅費、論文投稿費として充当する。
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