実験経済学の手法を用いた排出権取引制度の設計

2015 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26870768
• Research Institution: Kochi University of Technology
• Principal Investigator: 草川 孝夫 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 准教授 (00412289)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 排出権取引 / 排出量取引 / 排出許可証 / 環境経済学 / 実験経済学 / 実験ファイナンス / ノイズトレーダー

Outline of Annual Research Achievements

本研究課題の目的は、実験経済学の手法を用いて、温室効果ガスなどの排出権取引制度を設計することである。
明らかにしたい点の一つは、排出量の削減と並行して排出権の取引を認めるべきなのか否か、および削減が行われるよりも前や後の時点での取引を認めるべきなのか否かである。それらの組合せにより、約束期間の終了直前における排出権価格の高騰を期待した投機や、それを恐れた過剰削減が生まれる可能性がある。
明らかにしたいもう一つの点は、排出権取引市場において、排出権の転売を目的として参加する実需のないトレーダーを市場に導入することにより、排出権取引市場がどのような影響を受けるのかである。とくに、それらのトレーダーの導入が排出権市場の流動性を生み出す可能性の他に、排出権の投機的取引を生み出す可能性もある。
本年度は、来年度以降に実施する予定である実験のパラメータを決めるために、遺伝的アルゴリズムによりエージェントが削減投資の内容と排出権の売買注文の内容を学習するシミュレーションを実施した。それにより、被験者を用いた実験室実験において、制度間の違いの出やすいパラメータはどのようなものなのかの推測・検討を行った。
さらに、実験で参加させるトレーダーのタイプとして、(1)排出権の実需の有無と、(2)排出権のファンダメンタルバリューの情報の有無の組合せが異なる 2×2 のトレーダーのタイプのうち、どのタイプを実験で導入するべきなのかについての検討を行った。
さらに z-Tree を用いた実験実施プログラムを作成し、動作テストを行った。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

実験デザインに時間がかかっており、まだ被験者実験を実施できていない。

Strategy for Future Research Activity

実験デザインを確定し、実験を実施する。

Causes of Carryover

当該年度に実験を実施できなかったため、当初予定していた被験者謝金への支出がなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

当該年度に実施できなかった実験を次年度実施することにし、残金はその謝金に充当する。