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2016 Fiscal Year Research-status Report

ナルトビエイの行動計測による二枚貝類等の食害防除対策と沿岸生態系への影響評価

Research Project

Project/Area Number 26870772
Research InstitutionFukuyama University

Principal Investigator

渡辺 伸一  福山大学, 生命工学部, 准教授 (20450728)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2018-03-31
Keywordsバイオロギング / バイオテレメトリー / 食害 / 行動計測 / 加速度データロガー / 瀬戸内海 / 沿岸生態 / 干潟
Outline of Annual Research Achievements

近年、瀬戸内海では貝食性のナルトビエイが増え、二枚貝類への被害が報告されている。本研究では、記録計を装着して本種の摂餌行動を詳細に分析し、貝類を中心とした瀬戸内海の浅海域の生態系へ与える影響を評価し、さらにその食害被害を軽減する手法を提案することを目的としている。
平成27年度の調査では、ナルトビエイに加速度記録計を付けて摂餌行動を推定した。しかし、推定した摂餌頻度が低く、記録データから摂餌行動を十分に検出できていない可能性があった。そこで平成28年度では、加速度記録計とビデオカメラで行動を記録することで摂餌行動の検出精度を上げ、摂餌の発生頻度や深度を分析した。
平成28年6月から8月に広島県福山市の沿岸で9個体のナルトビエイを釣獲し、記録計を装着した。記録計は深度・水温(1Hz)・3軸方向の加速度(10Hz)を44-79時間(計580時間)記録し、タイマーで切り離して回収した。また、その間の映像を3-14時間(計82時間)記録した。
映像データから、摂餌行動は1個体で2回観察された。ナルトビエイは、上昇と下降を繰り返して海中を移動し、摂餌の際には海底に留まり、砂を掘り返して摂餌した。海底を掘り返す際には、左右方向の加速度に特徴的な高周波成分が検出された。この特徴をもとに全データで摂餌行動の検出を試みた。海底に留まり、その間に摂餌行動が6秒以上みられた場合を1回の摂餌行動とした。その結果、8個体から20-397回(計750回)の摂餌行動が確認された。摂餌行動は放流から24時間を経過してから、4~8時間に渡って継続して確認された。1回あたりの摂餌時間は平均12-50秒と短かったが、13分以上摂餌する場合もあった。また、摂餌深度は平均1.7-3.9mで最深で8.4mだった。
以上の結果は、本種の二枚貝類へ与える影響を推定し、その対策を講じる上でも重要な情報となると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成26~27年度の調査で計画通りナルトビエイの捕獲と野外での行動計測手法を開発した。計画では、野外調査と並行して、飼育実験を行い加速度ロガーのデータと行動との比較を行う予定だった。しかし、捕獲個体の輸送と飼育が困難だったことから、想定していた飼育実験を行うことができなかった。
飼育実験の代替案として、平成28年度の調査で野外のエイにビデオロガー(DVL400)を装着して、行動を記録する手法を開発した。その結果、自然状態でのナルトビエイ摂餌行動や他個体との接触行動を記録することができた。また、摂餌中の環境やクロダイやフグなど他種生物との種間関係を示す映像データを記録することもできた。
また、平成26~27年度の調査では放流後2日間の行動を計測したが、平成28年度の調査では、放流後最長で3日間の行動を計測した。その結果、ナルトビエイは放流後2日以降に高頻度で摂餌することが明らかになった
ビデオロガーの使用と記録期間の延長により、当初予定していた以上に多様な環境計測をすることができた。しかし、当初の予定よりもエイの出現時期が6~8月と短く、さらに水質が悪化する8月以降は有効な映像データを得ることができなかった。

Strategy for Future Research Activity

平成28年度の成果において、行動の計測期間を3日間に延長したことで、ナルトビエイの摂餌が放流から2日以降に多いことが明らかになった。今後は記録期間を4日間に伸ばすことで、効率よくナルトビエイの摂餌行動を記録する予定である。また、ビデオロガーの使用は、ナルトビエイの個体間関係や他種との種間関係を知る上で有効であることが示された。
これまでのところ十分な検証データを得るに至っていないため、調査期間を一年延長して、平成29年8月まで野外調査を行い、その後、結果をまとめる予定である。
今年度の調査では、水質が悪化する前の7月までにビデオロガーを使用して、さらに多くのデータを得る予定である。また、近年開発された水中で三次元の遊泳経路を計測することができる3Dロガー(ORI400-3MPD3GT)を使用することで、より詳しいナルトビエイの摂餌行動を計測する予定である。

Causes of Carryover

当初の予定よりもエイの出現時期が6~8月と短く、9月以降調査を継続することができなかった。そのため、当初予定していたより野外調査の頻度が低かった。また、野外調査を予定していた笠岡市より近隣の松永湾で行うことで野外調査にかかる出張旅費を節約することができた。
さらに計画していた飼育実験を中止したことで、その分の予算が次年度使用額として生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

野外調査は、平成29年度も8月中までを予定している。調査は近隣の松永湾で行うため、野外調査費は計上していない。短期間に効率よく有効なデータを収集するため、平成28年度までに購入したデータロガーとともに、近年開発された3Dロガー(ORI400-3MPD3GT)を購入し、ナルトビエイのより詳細な行動の計測を試みる。

  • Research Products

    (4 results)

All 2017 2016

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results) Book (1 results)

  • [Presentation] 瀬戸内海におけるナルトビエイの摂餌行動:ビデオ・加速度記録計による観察2017

    • Author(s)
      渡辺伸一・岩本遼
    • Organizer
      平成29年度日本水産学会春季大会
    • Place of Presentation
      東京海洋大学(東京都品川区)
    • Year and Date
      2017-03-26 – 2017-03-30
  • [Presentation] Monitoring activity of the keystone species in the costal ecosystem of the Seto Inland Sea, Japan2016

    • Author(s)
      Shinichi Watanabe
    • Organizer
      The SIMSEA Regional Symposium 2016
    • Place of Presentation
      Quezon City (Philippines)
    • Year and Date
      2016-09-26 – 2016-09-28
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 海洋生物を使った環境モニタリング手法2016

    • Author(s)
      渡辺伸一
    • Organizer
      第49回水環境フォーラム山口
    • Place of Presentation
      山口県セミナーパーク(山口県山口市)
    • Year and Date
      2016-09-10
    • Invited
  • [Book] バイオロギング2―動物たちの知られざる世界を探る2016

    • Author(s)
      バイオロギング研究会編
    • Total Pages
      223
    • Publisher
      京都通信社

URL: 

Published: 2018-01-16  

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