2014 Fiscal Year Research-status Report
統計公差指標を用いた製品性能に基づく許容差設計法の開発と実用性の検証
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26870774
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
大塚 章正 山口東京理科大学, 工学部, 助教 (90611848)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公差 / 工程能力指数 / 最適化 / CAE / 性能設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
顧客要求の多様化は製品の性能面にも及び,要求性能に応じた許容差設計法の必要性が高まりつつある.本課題では統計公差指標を利用した許容差設計法の研究を行う.統計公差指標は,工程能力指数に許容限界を指示することで加工誤差の分布を制限する.このため,従来の公差に比べ詳細な寸法管理が可能となり,設計段階において製品性能を管理できるようになる.本年度の課題は,統計公差指標を幾何公差に拡張すること,並びに,ケーススタディとして実在する簡易な製品モデルを用いて統計公差指標の有効性を検証することである. 前者の課題では,片側公差である幾何公差を扱うために工程能力指数 Cpl,Cpu,Ccl,Ccu を導入し,統計公差指標の一般的な累積問題に取り組んだ.この問題に対して近似解を与えるアルゴリズムを新たに開発した.このアルゴリズムは,モンテカルロ法により統計公差指標の累積シミュレーションを多数行い,その結果(点群)に対する凸包を近似解として出力する.この研究成果はICED2015において発表された. 後者の課題では,ケーススタディとして片持ち梁を取り上げ,要求性能として解析解が既知である微小変位を取り上げた.加工誤差をシミュレートするために各寸法パラメータを公差域内で変動させる.個々の製品性能は解析的に算出できるが,敢えて有限要素法も利用して算出している.なぜなら,本年度以降のケーススタディとして取り上げる製品性能は解析的に求められないことを想定しているからである. 予定していた上記の課題に加えて,今後必要となる幾何偏差のモデル化の予備実験として,製品性能に対する誤差の分布形状の影響を数値実験を用いて解析した.その結果,製品性能に対しては誤差の分布形状の影響は無視できるほど小さいことが分かった.この成果はICPE2014において発表された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究計画の内容は,幾何公差に対して統計公差指標が指示された場合の累積問題を解くこと,及び,寸法公差に対する統計公差指標の有効性の検証の2点であった.前者の内容については,当初の計画通り近似解を求めるアルゴリズムを開発できた.後者の内容については,検証に用いるためのデータが十分整っておらず,当初の計画よりもやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究計画に従い,寸法公差および幾何公差における統計公差指標の有効性の検討を行う.データの収集にかかる時間(有限要素法の計算時間)を考慮して,遅れ分と今後の課題に対して並列的に取り組む.
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Causes of Carryover |
海外で開催される国際会議への参加を予定していたが,国内で開催される国際会議への参加に変更したからである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後は物品の購入の予定はない.研究成果の発表のための旅費,参加費,論文投稿料等に充てる予定である.
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