2016 Fiscal Year Annual Research Report
The research for dopaminergic plasticity
Project/Area Number |
26870775
|
Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
鴻海 俊太郎 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (40548947)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 側坐核 / 拘束ストレス / セロトニン |
Outline of Annual Research Achievements |
側坐核の中型有棘細胞間抑制性シナプス伝達(側方抑制回路)に対する、ドパミンのD1受容体を介する制御機構について解明した。本研究計画実施の過程で、このGABA作動性側方抑制回路は、D1受容体の活性化により、主として抑制的に制御されることが示された。この研究成果は、Neuroscience Lettersに掲載された(Kohnomi et al., 2017)。 これまでの研究成果(Kohnomi et al., 2012, 2015)を合わせると、側坐核の中型有棘細胞間側方抑制回路は、ドパミンD1, D2, D3いずれの受容体を介しても抑制的に制御されることが明らかとなった。D1, D2, D3受容体は、内因性の伝達物質であるドパミンに対する感受性が異なる。最も低い濃度でD3受容体が活性化され、ドパミン濃度が上昇する(ドパミン神経活動が亢進する)につれて、D2, D1受容体の順に活性化されると想定されている。ストレスはドパミン神経活動を更新させるとされている。したがって、ストレスが負荷されるにつれて、側方抑制回路はより強く抑制されていくと考察される。その結果として、側坐核中型有棘細胞は、相互に必要な制御を受けることなく、無秩序に興奮する状態になると推察される。これら一連の研究結果は、ストレスがいわゆる中枢興奮を惹起することを示唆している。つまり本研究結果は、統合失調症の病因の一端を説明できる可能性のある知見であろう。
|