2014 Fiscal Year Research-status Report
石炭灰を用いた地盤材料の耐久性評価手法及び環境安全品質管理手法の確立
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26870786
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
藤川 拓朗 福岡大学, 工学部, 助教 (20609606)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 乾湿繰返し試験 / 耐久性 / 石炭灰 / 溶出試験 / 土壌環境基準 / 重金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災以降、火力発電所の稼働が増加している背景から、副次的に生成される石炭灰の発生量が増加しており、現在、石炭灰の更なる有効利用が求められている。石炭灰の大量利用と利用促進を期待するためには、地盤材料としての積極的な利用が効果的であることから、本研究は、石炭灰を用いた地盤材料(石炭灰混合材料)の耐久性評価手法の確立と環境安全品質管理手法を確立することを研究の主目的としている。 一般的に石炭灰混合材料は、qu28=300~1,000kN/m2の範囲で使用されていることが多い。しかしながら、セメント改良土等の長期的な耐久性を検討する際に用いられる乾湿繰返し試験では、qu28=500kN/m2程度以下の低強度な石炭灰混合材料(低強度石炭灰混合材料と定義)において、初期の湿潤過程でスレーキングが生じ、細粒化による崩壊により耐久性の評価が難しいことや、供試体中のCaの溶脱が耐久性に影響を及ぼすことが明らかになっている。そのため、当該年度における研究ではこのような強度レベルにおいてもスレーキングを生じさせず、耐久性を評価することが可能な乾湿履歴の条件を設定することを目的としており、乾湿繰返し試験が実施可能な設定温度について把握すべく、乾湿繰返し試験の炉乾燥温度に着目した。 その結果、乾湿過程の温度と試験後のスレーキングには密接な関係があり、適切な温度領域が存在することが判明した。今回の結果では、乾燥温度30℃(ASTMでは通常60℃で実施)においてスレーキングが生じることなく、乾湿繰返し試験を実施することが可能であることが判明した。しかしながら、劣化の傾向を掴むまでには至らなかったことから、乾燥温度30℃においてはサイクル数を通常の15サイクルより更に増やす必要や、更に細かい温度設定の検討が必要であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究目的は、①強度レベルに応じた乾湿繰返し試験の条件設定の確立と、②実際の利用環境に応じた乾湿サイクル条件の体系化である。 ①については、乾燥温度の違い(30℃、40℃、60℃)に着目した乾湿繰返し試験を実施し、30℃以下であれば低強度な石炭灰混合材料でも評価が可能であることを明らかにした。 ②については、乾湿繰返し試験に使用する溶媒に着目し、蒸留水、酸性雨、硫酸塩溶媒を用いた実験を行い、溶媒の違いによるカルシウムの溶脱量を定量的に評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、カラム通水試験を用いた石炭灰混合材料の長期的な環境影響評価の検討を行い、石炭灰中に含まれるホウ素、ヒ素、セレン等の重金属類の溶出特性をバッチ試験とカラム試験を併用し、実際の利用場に応じた条件において周辺環境へ及ぼす影響について定量的な評価を行っていく。特に石炭灰混合材料の劣化が溶出挙動にどう影響を及ぼすのか、またその際、周辺地盤への吸着の有無等について、カラム通水試験を用いて明らかにする。 また、強度レベルに応じた乾湿繰返し試験の条件設定については、当該年度の検討でより詳細の検討が必要になったため、引き続き継続して試験を実施し、データの蓄積を行っていく予定である。
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