2016 Fiscal Year Annual Research Report
A qualitative study on the use of the term "domestic violence" (DV) in DV counseling: From the narratives of survivors and clinical psychologists.
Project/Area Number |
26870795
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Research Institution | Shigakukan University |
Principal Investigator |
石井 佳世 志學館大学, 人間関係学部, 准教授 (00551128)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ドメスティック・バイオレンス / DVサバイバー / 現実構成 / コントロール感 / 支援者 / デートDV |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ドメスティック・バイオレンス(以下DV)支援に際しての「DV」概念の使用について意義と留意点を明らかにし、DVからの自己回復や支援者による効果的な対応のための方策を提案することを目的としている。 最終年度は、DVサバイバーが自らの体験を「DV」であると認識した経験について調査した結果を分析し発表した。その結果、DVという言語と自らの経験を結びつける体験は、DV被害者にとってネガティブな感情を伴ったり、容易に結び付けられるものでないと感じたりする一方、自分が悪いのではないなど自己の肯定的な受け止めや、DV状況から脱する変化の契機となりうることが示唆された。 また、DV被害者に面接をした経験を持つ支援者を対象にしたインタビュー調査の結果、支援者は「DV」という言語の使用に際して、DV被害者が体験したことに名前がつき、整理される体験を共有できること、被害者に責任がないということをノーマライゼーションできることなど、メリットを感じている一方、言語の使用に抵抗を感じることや加害者と被害者という対立構造がおのずと浮き彫りになり、二元論的な価値観の中で事例が現実構成されていく勢いに圧倒される体験をしていることが示された。 以上の結果より、支援者は「DV」という言語を安易に用いるのではなく、「DV」という言語が被害者にどう役立つ可能性があるか説明し、その言語をどう使っていくかどうか、被害者が自分の体験とDVを結び付けることをしていくかどうかについて話し合い、被害者と共に再構成していくなど留意することが必要であると考えられる。
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