2014 Fiscal Year Research-status Report
障害者のきょうだいによる自己の語りとその受けとめ-将来の生き方に向けた支援の探究
Project/Area Number |
26870799
|
Research Institution | Shohoku College |
Principal Investigator |
沖潮 満里子 湘北短期大学, その他部局等, 専任講師 (30707310)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 障害者のきょうだい / 質的研究 / 自己開示 / 自己語り / 自己エスノグラフィ / 対話的なインタビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、障害者を兄弟姉妹にもつ人(以下、きょうだい)が、きょうだいであることをどのように周囲に開示し、経験を語るのかを当事者の語りから明らかにした上で、将来の生き方に関するきょうだいとその家族支援のあり方を検討することを目的とする。筆者がこれまで行なってきた、きょうだいとしての自身の経験を語り、検討する自己エスノグラフィ研究における対話者の経験を明らかにする研究の実施を今年度は主に計画していた。この対話者は、筆者が語ってきた障害を抱える妹との関係を中心とした自身のライフストーリーを、筆者と共同的に分析・解釈を行なってきた。この聴き手であった対話者が筆者の自己の語りをどのように受けとめてきたのか、その体験を明らかにすることを目的とし、これまでの共同的な分析や解釈の逐語録の分析を行った。 結果として、対話者は、自己開示のひとつとなっている自己語りに対してさまざまな角度からの質問を投げかけることで、筆者の語りがより豊かになったり、筆者にまた別のポジション(立ち位置)から自己を眺めさせる契機を生んだり、時には揺さぶりをかけたりすることとなったことが明らかになった。従来のインタビュー研究では、研究者が質問や投げかけによって相手の語りを限定したり方向づけたりすることは望ましくないとされてきた。しかし、近年はやりとりにおける共同構築的な側面が重視されている。その点からも、対話者の存在は、筆者にはなかった視点を提供し、筆者に自己の語り直しをする機会を与えたり、経験の見直しや捉え直しを促す機能を持ち合わせるものであると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書では、研究1と研究2を遂行すると記載していたが、実際には研究1のみ実施することができた。しかし、来年度の計画における研究1の学会発表等の外部発表も同時に進めることができたため、この点においては、計画よりも進んでいると考えられる。そのため、全体的な達成度としては、おおむね計画通りと言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、特にきょうだいの自己開示や自己かたりに関する思いや経験を明らかにしていく研究を進めていく。そのために、秋までにはインタビュー協力者との日程調整を進めていくこととする。
|
Causes of Carryover |
今年度は、研究2で実施するきょうだいへのインタビュー調査が遂行できなかったため、協力者への謝金ならびにインタビューのテープ起こし代が不要となり、次年度使用額が生じることとなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度計画していたインタビューを次年度に実施することで、繰り越し額を使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)