2015 Fiscal Year Research-status Report
遊びの質的転換を促す幼保一体化システムの構築-生活の連続性を視座に-
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26870802
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Research Institution | Minatogawa College |
Principal Investigator |
吉次 豊見 湊川短期大学, その他部局等, 准教授 (00614877)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遊びの連続性 / スウェーデン / ドキュメンテーション / 幼保一体化 / 認定こども園 / 家庭との連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究協力園であるH県S市の認定こども園において,園と家庭での遊びが連続する要因について遊び場面の継続的な撮影記録分析により,園と家庭・地域における遊びの繋がりを把握すると共に,質的変化の実態を明らかにした。遊びが空間軸の繋がりの中で高次に転換するための必要条件,質的転換を促す要因を精査した結果、最も大きな要因は家庭と園との連携、および認定こども園の構造であった。特に園便り,掲示板,個人の連絡帳などの園生活を可視化する文書や写真が,遊びの連続性の構築に大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。
また、平成27年12月には幼保連携型認定こども園の特徴と類似性を有するスウェーデンの幼保一体化園forskola(フォーシュコーラ就学前学校)において2週間の調査を実施した。具体的には以下のforskolaにおいてフィールドワークを実施し、ルシア祭当日の状況および関連する遊びについて保育観察を行い、各園の園長・保育者への聞き取り調査・カリキュラム・運営質報告書等からルシア祭の実際を把握した。調査園・ストックホルム市T-forskola(2015年12月7日)・ナッカ市S-forskola(2015年12月8日)・スンツヴァル市R-forskola(2015年12月10日)・スンツヴァル市S-forskola(2015年12月11~15日) また,スンツヴァル市S-forskolaに在園する2名の幼児の家庭訪問を行い(2015年12月14日・15日)ルシア祭前後の家庭での遊びや実態調査を実施した。 加えて遊びに関するドキュメンテーションの分析と,遊びの質的変化の実態等を各園の保育者と園長と共に逐次検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は予定どおりスウェーデンへの現地調査と日本での認定こども園の調査を実施することが出来た。しかしながら予定していたスウェーデンの夏至祭については勤務校の幼稚園教育実習時期と重なり、現地調査へ出かけることが出来なかった。 そのため、その時期は日本での認定こども園調査および文献資料の収集を実施し、特にスウェーデンのルシア祭に関する情報整理を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度調査を行えなかったスウェーデンの夏至祭については現地調査が時期的に難しいため、スウェーデン在住の研究協力者に資料の収集を依頼し、データの分析を行っていく。また、平成28年度には前年度までの全ての知見を総括し,我が国の幼保連携型認定こども園において,遊びが家庭・地域・園で継続し,循環する中で質的転換を促すためのドキュメンテーション等,園生活の可視化における実践モデルを作成し,研究協力園において実証研究を協同で行いながら具体的な方策と留意点を明らかにする。具体的には以下のとりである。
○遊びが家庭・地域・園で循環する中で高次の質的転換を促すシステム研究 幼保連携型認定こども園での課題と現状に合う実践モデルを試案するため,これまでの調査により明らかにした遊びが空間軸の繋がりの中で高次に転換するために必要な条件を再度精査し,勤務校附属認定こども園の保育者と共にドキュメンテーション作成とクラス便り等の園生活可視化文書の再構築を行う。これらが遊びの連続性と質の転換を促す効果を実証するため,遊びの継続的観察・家庭地域での遊び場面撮影を再度行い結果を分析する。また申請者勤務校の保育実践学研究者2名(共に保育現場経験有)の助言を得て,修正を加えながら適宜他の協力園にて実証研究を重ねる。以上より得られた結果から総合的検討を行い,遊びが連続するだけではなく,循環・連環しながらその質を効果的に高める幼保連携型認定こども園の保育システムを提示する。
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Causes of Carryover |
研究調査園の数を当初案より減少し、同一園での長期調査へと切り替えたため謝金等不要部分が生じた。また27年度に2回スウェーデンへの調査を実施する予定を1回とし、次年度に追加調査を行うよう変更したため必要最小限に使用額を抑えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度もスウェーデンでの現地調査を実施するため、旅費および謝金等に使用する。 また総括の時期であるため、勤務校に附属する認定こども園とでの課題と現状に合う実践モデルを試案するため,継続的に旅費と謝金、物品購入が必要となる。
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Research Products
(2 results)