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2015 Fiscal Year Research-status Report

塩害を受ける鉄筋コンクリート構造物の表面到達塩分の予測システムの開発

Research Project

Project/Area Number 26870810
Research InstitutionNagaoka University of Technology

Principal Investigator

中村 文則  長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70707786)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords飛来塩分 / 塩害 / 到達塩分 / 表面塩分量 / モルタル供試体 / 数値シミュレーション / 現地観測
Outline of Annual Research Achievements

平成27年度は、鉄筋コンクリート表面に到達する長期的な飛来塩分量の予測計算を実施するとともに、昨年度の研究成果を学会等で発表し、コンクリート工学年次講演会において年次論文奨励賞を受賞した。さらに、塩害環境下に設置されたコンクリート構造物を対象としたコンクリート内部の浸透塩分量の観測結果を収集するとともに、新潟県全域を対象とした34地点での飛来塩分の現地観測を実施した。
平成26年度に収集した新潟県全域における土研式捕集箱を用いた現地観測結果を整理した結果、本研究で解明したいと考えている橋桁周辺の環境条件(波浪・風況)と飛来塩分量の関係を明確に把握することが困難であることが新たに明らかになった。そのため、現地観測の計画を変更し、土研式捕集箱からモルタル供試体を用いる方法に変更を行うとともに、観測地点も4点から34点に変更した。さらに、塩害環境化にある実構造物のコンクリート内部の浸透塩分量の観測結果および5年間におよぶ長期的な飛来塩分の現地観測結果を新たに収集した。それら合わせて、飛来塩分の数値シミュレーションモデルを長期間の実橋梁に対応できるように改良し、現地観測結果との比較を行った。
改良および開発した飛来塩分の数値シミュレーションモデルは、数十年間の実橋梁の表面に到達する飛来塩分量を2時間間隔で予測できるものである。計算結果は、昨年度収集した5年間の飛来塩分の現地結果を概ね再現できることが示された。さらに、この計算結果を用いて、構造物表面の塩分量の変化がコンクリート内部に浸透する塩分量に与える影響について検討を行い、その結果を整理し、平成28年度のコンクリート年次論文集に投稿(査読有:搭載決定)した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成27年度までは、新潟県全域を対象とした広域の飛来塩分を予測できる数値シミュレーションモデルを開発するために、広域に対応した飛来塩分の数値シミュレーションモデルの改良とその検証データとなる現地観測を実施する計画であった。さらに、そのデータを実務の技術者および研究者に広く利用してもらうために、GISを用いたデータベースの一部を構築することを計画していた。
平成26年度に新潟県全域で実施された観測結果を整理した結果、計画している現地観測方法では、本研究の数値シミュレーションモデルの検証に使用するには観測点が少なく、設置条件も統一することが困難であることから、この方法では十分なデータが取得できないと判断された。そのため、計画を変更し、本年度は長期的に飛来塩分を予測できる数値シミュレーションモデルの改良と開発を行った。これは、本研究の最終的な課題の一つに位置するものである。その結果を新たに収集した5年間における長期的な飛来塩分の現地観測結果と比較し、数値シミュレーションモデルの妥当性の検証を行った。さらに、実構造物の塩害劣化の直接の原因はコンクリート中に浸透した塩分量である。そのため、コンクリート中の塩分浸透を再現できる数値シミュレーションモデルを本研究のモデルに追加し、10年間における構造物表面への塩分の到達とその構造物内部への浸透を再現計算した。また、GISを用いたデータベースの構築には、建設業界で試行的に実施されているCIMを用いた方法を提案し、その一部分を構築するとともに、その結果を学会に投稿(査読中)した。
以上より、研究を進めていくに当たり新たな問題点が発生したため、当初の計画を一部変更しているが、それに対応した新たな研究成果を得ることができており、順調に研究が進んでいる。

Strategy for Future Research Activity

平成28年度は、現在実施している広域を対象とした飛来塩分の現地観測の結果を整理するとともに、その結果を用いて改良した数値シミュレーションモデルの検証を行い、さらに数値モデルの精度が向上するように改良を行う予定である。また、現地観測結果を詳細に分析し、現地観測点やその方法の改善を行い、平成28年冬季に新潟県全域を対象とした広域の現地観測を再度実施する予定である。また、実務の技術者および研究者がこの研究成果および数値シミュレーションモデルを利用できるように、地理情報システム(GIS)とCIMを組み合わせたコンクリート構造物の維持管理システムの構築を完成させる予定である。
これらの成果を学会等に投稿・発表する予定であり、現在、コンクリート年次論文集(査読有:搭載決定)、コンクリート構造物の補修・補強・アップグレードシンポジウム(査読有:査読中)、土木学会年次学術講演会、混相流シンポジウム(投稿中)に投稿している。

Causes of Carryover

平成27年度に実施した現地観測におけるモルタル供試体の塩分量の分析は、当初の計画では平成27年度に行う予定であったが、観測期間が変更になったことから、平成28年度に変更することとした。そのため、現地観測のモルタル供試体に含まれる塩分量の分析費として、次年度使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成28年度の使用計画としては、平成27年度に実施した現地観測のモルタル供試体の分析費と新たに実施する現地観測の旅費、消耗品、分析費に使用する予定である。分析費はモルタル供試体の塩化物イオン量の分析であり、平成27年度に実施した現地観測では約50個、平成28年に実施する現地観測では約100個を予定している。
また、研究成果を学会等で発表するため、学会の参加費、投稿料、旅費等の費用に使用する計画である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2016 2015

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Acknowledgement Compliant: 2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 外部環境条件の時系列変化を考慮した実構造物の塩分浸透量に関する研究2016

    • Author(s)
      中村文則・下村 匠・原田健二・大原涼平
    • Journal Title

      コンクリート工学年次論文集

      Volume: 38 Pages: 855-860

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Journal Article] 数値シミュレーションを援用した構造物各部位の到達塩分量の予測手法2015

    • Author(s)
      中村文則、下村 匠、生田麻実、細山田得三
    • Journal Title

      コンクリート工学年次論文集

      Volume: Vol.37 Pages: 775-780

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] 海域における塩分粒子の発生から構造物表面への到達過程の数値解析2016

    • Author(s)
      中村文則
    • Organizer
      第71回年次学術講演会講演概要集
    • Place of Presentation
      宮城県(東北大学)
    • Year and Date
      2016-09-07 – 2016-09-09

URL: 

Published: 2017-01-06  

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