2015 Fiscal Year Research-status Report
生体イメージングのための広帯域・非分散アンテナの開発と適用
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26870811
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 直樹 (伊藤直樹) 宇部工業高等専門学校, 制御情報工学科, 准教授 (50604849)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生体 / イメージング / 広帯域 / アンテナ / マイクロ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究目的を達成するため、広帯域・非分散アンテナの広帯域特性の改善を行った。広帯域特性の実現に重要な要素となる小型・平面アンテナのバラン回路において、伝送線路の回路パターンのテーパー部分の長さや幅だけでなく、スルーホールのサイズや位置の違いによる周波数特性の検証を重ねた。また、高周波回路の基板材料の厚み 0.254 ~ 0.83 [mm]、および、比誘電率 2.2 ~ 6.15 の範囲におけるアンテナの反射特性および放射特性の検証を行った。これら材料のパラメータの変更などによる検証を通じて、-10 dB 帯域幅を 8.6 GHz から 11.2 GHz と、2.6 GHz の広帯域化を実現することができた。 計測システムにおけるサンプリング時に使用するトリガ信号について、伝送線路における反射信号による影響を低減したシステム構成に変更することで、信号レベルを約 2.2 倍に改善することができた。また、本システムにおいて、ログスパイラルアンテナA (70×75 [mm])、B (37×51 [mm])、C (49×48 [mm])、ビバルディアンテナA (120×52 [mm])、B (50×30 [mm])、ボウタイアンテナA (48×34 [mm])、B (36×25 [mm])、C (35×25 [mm])、D (26×19 [mm])、E (77×73 [mm]) を送受信アンテナとした場合の超短パルス信号の透過特性や胸部モデルからの反射波信号の分散特性について検証を行った。アンテナの種類だけでなく、アンテナとモデルとの距離、送受信アンテナの間隔、アンテナからの電波の照射角度の違いによる検証を行い、信号レベルを約 2.8 倍に改善することができた。今後は解析する周波数に応じたアンテナの選定を行い、検知精度の向上を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
広帯域アンテナの実現に向けて、システムに適用可能な小型・平面アンテナのバラン回路や高周波回路基板の厚みおよび比誘電率といった、材料のパラメータの変更などによる検証を通じて、広帯域化を実現することができている。また、計測システムに適用するためのアンテナの比較検証を行い、本課題の目的を達成するためのアンテナシステムの開発、および表面波の低減方法の検証について順調に進んでいる。しかし、検知深さおよび分解能を向上させるためのアンテナシステムの最適化および解析手法の実現については現時点において課題が残っている。研究発表については、学術論文 2 件、国際学会発表 2 件、国内学会発表 2 件と、当初の計画より多く行うことができた。以上の理由により、当初の計画に対して、「やや遅れている」と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続きアンテナシステムの最適化、周波数フィルタリング処理、カバーの工夫などによる表面反射波の低減を目指し、ハードウェア・ソフトウェア両面からのアプローチにより、検知深さ・分解能の向上を図る。 胸部モデルとターゲットのコントラストが大きい程、検知サイズや検知深さも向上することが期待できる。一般に胸部の比誘電率は 10 程度で、腫瘍は 50 程度と言われている。これまでは胸部モデルとして、比誘電率が 10 程度のファントムを、腫瘍相当として、比誘電率 20 程度の材料を使用しており、現実的に想定されるコントラストより小さくなっている。また、現在は腫瘍モデルとして無機物を採用しているが、人体は有機物で構成されており、現実的な振る舞いについては未検証であった。本課題に対し、ⅰ)比誘電率を制御可能なセラミック材料を用いてより現実に近いモデルを想定し、コントラストの大きな実験モデルにおける検証を行う。ⅱ)油脂分が少ない市販の食用の肉などの有機物を入手し、本材料を腫瘍と見立てて検証を実施する。ⅲ)動物や人の胸部腫瘍相当の検体における実証実験について検討を進める。なお、九州大学医学部の先生には既に相談を行い、必要に応じ協力いただける承諾を得ている。 実用化を目指すためには、対象である乳房全てを計測することが望ましいが、現在のシステムは検知エリアが一次元である。本課題に対し、ⅰ)検知するための走査数をできるだけ減らした二次元検査方法の検討および検証を行い、計測システムを簡素化すると共に、データ取得および解析アルゴリズムの開発を行う。ⅱ)ターゲットを一つだけでなく複数設置した場合について検証を実施する。 上述した課題に対し、これまでに構築したネットワークを活用し、マイクロ波による非破壊検査の最先端機関である国内外の研究者と議論を重ね、ニーズを配慮した広い視野で研究を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度の計画時に購入予定であった、AWR 社の Microwave Office について、無償ライセンス版を活用することにより、購入費用を削減することができた。また、ターゲット検出用に購入予定であった、胸部モデルのファントム、システム評価で使用する高周波部品、および機構部品について、他機関より無償で借用することにより、購入費用を低減することができた。さらに、回路パターンの工夫などにより、検証用の高周波回路の試作費用を大幅に低減することができたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高周波ケーブルや同軸デバイスなどの同軸部品、計測制御のための機構部品、アンテナシステムのための機構部品などの消耗品の購入を追加することで、より高精度な計測システムを構築することを計画している。また、高周波回路の設計を行い、平成28年度に購入予定であった消耗品に加え、さらなる特性改善を目指し、高周波回路パターンの製作を追加で行うことを計画している。さらに、測定設備を所有している他機関に訪問する回数を増やし、検知精度を向上するための検証の回数および議論を行う回数を増やすことを計画している。
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[Presentation] LO内蔵型アンテナアレイを用いたGAMMA 10/PDXダイバータ模擬実験用マイクロ波イメージング干渉計の開発2015
Author(s)
小波蔵純子, 菅野傑, 王小龍, 林ひかる, 吉川正志, 桑原大介, 伊藤直樹, 長山好夫, 嶋頼子, 坂本瑞樹, 中嶋洋輔, 間瀬淳
Organizer
プラズマ・核融合学会 第32回年会
Place of Presentation
名古屋市,愛知県
Year and Date
2015-11-24 – 2015-11-27
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[Presentation] Observation of Electron Density Fluctuations by Using the O-mode Microwave Imaging Reflectometry (O-MIR) in LHD2015
Author(s)
Y. Nagayama, H. Tsuchiya, S. Yamaguchi, S. Hashimoto, N. Ito, D. Kuwahara, S. Sugito, Z. B. Shi, and M. Jiang
Organizer
25th International Toki Conference
Place of Presentation
Toki, Toki City, Japan
Year and Date
2015-11-03 – 2015-11-06
Int'l Joint Research
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[Presentation] Development of a local oscillator integrated antenna array for microwave imaging diagnostics2015
Author(s)
D. Kuwahara, N. Ito, Y. Nagayama, H. Tsuchiya, M. Yoshikawa, J. Kohagura, T. Yoshinaga, S. Yamaguchi, Y. Kogi, and A. Mase
Organizer
Development of a local oscillator integrated antenna array for microwave imaging diagnostics 17th International Symposium Laser Aided Plasma Diagnostics
Place of Presentation
Sapporo, Hokkaido, Japan
Year and Date
2015-09-27 – 2015-10-01
Int'l Joint Research / Invited
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