2014 Fiscal Year Research-status Report
SAM界面での気体分子散乱機構の学理究明と散乱モデルの構築
Project/Area Number |
26870813
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
武内 秀樹 高知工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (30435474)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自己組織化単分子膜 / SAM / 分子動力学 / Gas-Surface Interaction / 適応係数 / 分子気体力学 / 希薄気体 / 境界条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロ・ナノスケールの気体流れに対して,自己組織化単分子膜(SAM)界面での気体分子散乱メカニズムを基礎的レベルで明らかにし,運動量・エネルギー輸送過程に与える影響について統一的な知見を得ることを目的として,本年度はSAM修飾界面における気体分子散乱特性を明らかにするために,まず分子動力学計算系の設定と計算モデルの妥当性の検証を行った.典型的なSAM表面を模擬するために,遷移金属表面である金表面上でのアルカンチオール分子を対象とし,分子動力学計算に用いる分子間のポテンシャル関数の選定を行い,構成したSAMモデルを用いて分子動力学解析を実行し,実験的に明らかになっている分子レベルの吸着構造情報と比較し,SAM分子の表面上の存在確率分布や傾き角などから解析精度の確認を行った.SAMが高い秩序性を有するには,SAMの炭化水素鎖の長さが長い系が必要であることが示唆された.次に,気体分子として,単原子分子気体のアルゴン分子を考え,SAM界面モデルでの散乱挙動を解析し,気体分子の反射特性を理解するのに必要な基礎データ(反射分子の流束強度分布の反射角度依存性,吸着確率と吸着・脱離現象など)が分子間ポテンシャルのパラメータによりどのように依存するかについて調べた.また,SAM修飾を行わない平滑で清浄な金表面との散乱特性の解析も行い,両者の比較を進めているが,SAM界面モデルの炭化水素鎖の長さが短いため,秩序性の高いSAM表面を模擬するには不十分であることが想定されることから解析精度の向上のために計算系の改善を実施している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,予定の通りSAM表面モデルの構築を行ったが,SAMの秩序性があまり高くないために,SAMの炭化水素鎖の長さの変更や分子間ポテンシャルの見直しも含めSAM界面モデルの改善を行う.また,SAM表面モデルでの気体分子の散乱特性の基礎データも十分なデータ量が得られていないために,SAM界面が持つ優位性についての重要な因子の特定までには至っておらず多少の計画の遅れが見られる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,秩序性のより高いSAM表面モデルに改善し,SAMの配向や構造の違いによる気体分子の散乱挙動への関連性・独立性を明らかにする予定である.また,1次元の巨視的な熱流動場を想定し,空間的・時間的スケールが異なる分子シミュレーション解析をカップリングし,分子動力学法とDSMC(Direct Simulation Monte Carlo)法を組み合わせた手法により計算を行い,運動量適応係数やエネルギー適応係数を求め,SAM界面の持つ表面修飾の特異性が系の流速分布や温度分布に与える影響について吟味するとともに,得られた気体分子の分子速度分布関数や回転エネルギー分布関数などの散乱特性を精査し,反射分子に対する散乱モデルを構築し,既存の散乱モデルとの比較を行い,汎用性のある界面反射境界条件の構築および拡張を検討する予定である.
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Causes of Carryover |
本年度の研究に多少の計画の遅れが見られたので,解析結果の蓄積や保存を行うための計算機用消耗品などを購入するための予算や当初予定していた研究打ち合わせや研究成果発表のための旅費を次年度に繰り越したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
解析データ処理のための計算機用消耗品を購入するための予算および研究成果を発表するための国内外の旅費の他,論文投稿費用などの予算を計上している.
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