2014 Fiscal Year Research-status Report
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26870822
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
鈴木 香寿恵 統計数理研究所, データ同化研究開発センター, 研究員 (20455190)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 涵養量 / 降雪 / 南極氷床 / 空間統計学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、南極昭和基地で観測された天気概況および南極地域観測隊の記録日誌による降雪事例のデータ収集をまず実施した。 特に、2008、2009年は東南極大陸で多雪の観測報告が各国の基地からもあり、まず初動としてこの2009年に絞って詳細なデータ解析を行うこととした。 客観解析気象データを用いて、観測された降雪イベント時の様々な要素の空間パターンを検討した結果、特定の気圧配置と水蒸気の空間分布の抽出に成功した。 得られた気圧配置・水蒸気の空間パターンと南極氷床の年涵養量を回帰モデルで表現し、降雪量推定モデルとする予定である。降雪量を推定することが難しい場合でも、空間パターンの多様性とそれぞれの発生頻度を定量化することで、南極氷床コアや表面積雪の分析結果の考察に役立つことが国際シンポジウムにおいての研究成果発表の際に指摘を受けた。本研究の目的である、空間統計に基づいた南極氷床における降雪量推定モデルの開発に学術的な意義が深いことを裏付けられたともいえる。 また、先に得られた気圧配置・水蒸気の空間分布と同様な分布を自動的に抽出する手法について機械学習に知見のある研究者と検討を行ったところ、高解像度のグリッドデータを扱うため計算が多少大変ではあるが可能であることを確認した。一つのイベントに対する降雪量の重み付けを推定するために、この自動空間パターン認識手法が降雪量推定モデルに必須であるが、まだ一部問題が残っているために検出の自動化が完了していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
南極昭和基地における有人観測データと客観解析気象データおよび衛星観測による雲データを用いて降雪と関係のある気圧勾配の特定パターンを得ることは出来た。近年、昭和基地を含む東南極大陸への水蒸気輸送イベントについて報告のあった論文に掲載されている大気循環場の空間パターンと本研究で得られた特定パターンは類似しており、結果の検証もできたといえる。 降雪量を推定する回帰モデルの開発は一部問題が未解決のため完了しておらず、平成27年度前半も引き続きモデルの開発を行うこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
降雪量推定モデルの開発を平成27年度前半には完了させ、実施計画を漸進させる予定である。
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Research Products
(4 results)