2014 Fiscal Year Research-status Report
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26870823
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
滝脇 知也 独立行政法人理化学研究所, 長瀧天体ビッグバン研究室, 研究員 (50507837)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ニュートリノ / 輻射輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はポスト京コンピューターの時代におけるニュートリノ輻射輸送法を確立することである。超新星爆発は、原始中性子星から生じる高エネルギーニュートリノが物質を加熱し、衝撃波にエネルギーを与えることによって起こると考えられている。この現象をシミュレーションするにはニュートリノのボルツマン方程式(空間3次元、位相空間3次元の6次元微分方程式)を解く必要がある。ポスト京コンピューターの時代で初めてこの方程式を解くことができると期待されているが、その時代の計算機の特性にあったアルゴリズムやチューニング法は未開発であり、早急な開発が求められている。 本研究は、以下の3つの小課題に分かれている。(1) M1-Closure 法による3+1次元シミュレーションのコード開発(2) S_n 法による2+2次元シミュレーションのコード開発(3) S_n 法による3+3次元シミュレーションのコード開発である。 平成26年度には、(1)の開発を行った。ニュートリノの分布関数は空間3次元、エネルギー1次元と運動の角度方向2次元で記述される。M1-closure 法では運動の角度方向の2次元分を積分してしまい、空間3次元+エネルギー1次元の4次元の方程式として定式化する。元のボルツマン方程式を単純に積分するとエネルギー輸送の方程式が得られ、角度方向をかけてから積分すると運動量輸送の方程式が得られる。ただし、運動量の方程式には非等方圧力と呼ばれる未知の量が含まれてしまうため、そのままでは解くことができない。そこでこの非等方圧力をエネルギーのの関数として記述(Closure 関係)することで、方程式を解くのがこの手法の特徴である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの小課題に分けた小課題のうち、一つ目が順調に進み、一段落したため、順調に進んでいると評価した。具体的には3次元、カーテジアン座標においてM1クロージャースキームの開発を終え、論文を執筆、現在査読中である。球座標のほうも、テストが終了しており、応用に差し掛かった段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
特に変更はない。
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Causes of Carryover |
研究会での旅費の支出を予定していたが、結局、主催者側が負担することになった。その分がこちらに残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
金額的に国内旅費に使うのに適切である。その時期の適切な研究会への出席を計画する。
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Research Products
(3 results)