2014 Fiscal Year Research-status Report
抑制性シナプス編成を制御する分子間相互作用と時空間ダイナミクスの解析
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26870826
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
中畑 義久 生理学研究所, 発達生理学研究系, 特別研究員 (50726536)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抑制性シナプス / シナプス編成 / 培養神経細胞 / グリシン受容体 / ゲフィリン / 分子間相互作用 / ライブセルイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系において、抑制性神経伝達は興奮性神経伝達とともに必要不可欠な働きである。しかし、抑制性シナプスに関連した分子群がどのような時系列で集積し、機能的な抑制性シナプスを編成するのか、という神経回路構築の基本原理は今なお十分明らかになっておらず、とりわけ各分子がどのように協調して働くのか、という問いは未解明である。そこで、本研究はグリシン受容体をはじめとする抑制性シナプス関連分子の相互作用と時空間ダイナミクスを系統的に解析し、神経活動や受容体の活性化に伴う抑制性シナプス編成機構を明らかにすることを目的としている。 先行研究より、シナプスにおいてグリシン受容体の足場タンパク質として働くゲフィリンが、細胞内輸送にも関与することが示唆されている。そのため、マウス培養神経細胞を用いてグリシン受容体とゲフィリンの移動性をライブセルイメージングにて検討した。すると、約1時間の経時観察において、ゲフィリンは比較的安定しており、低い移動性を示した。一方、グリシン受容体は高い移動性を示したことから、グリシン受容体とゲフィリンは少なくとも常に結合した状態で移動するのではないことが考えられる。今後は、ゲフィリンの安定性を制御する要因を確認するとともに、細胞接着分子と細胞骨格、モータータンパク質との相互作用を検討し、神経細胞の活動と受容体の活性化によってこれら各分子の挙動が時間及び空間的にどのように変化するのか、より詳細な解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画に基づき、本年度は抑制性シナプス関連分子のDNAコンストラクト作製、培養神経細胞への遺伝子導入および分子挙動の観察を行った。グリシン受容体とその足場タンパク質であるゲフィリンの挙動を同一細胞の突起上において観察し、それぞれの移動性が異なることを確認した。現在は他の分子の挙動についても解析を行っており、おおむね計画通りに研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果を踏まえ、より多様な抑制性シナプス関連分子の組み合わせで、相互作用および分子挙動の解析を進める。現在対象としている分散培養神経細胞での遺伝子発現効率が低いことから、状況に応じて脳・脊髄の切片培養神経細胞を用いることも検討している。
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Causes of Carryover |
今年度は、当初予定していた加温チャンバー等を用いない方法で実験を行った。そのため、当該機器は次年度に購入することを検討している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ライブセルイメージングで用いる温度コントローラー、細胞培養および遺伝子導入に使用する試薬および器具等を購入予定である。
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Research Products
(2 results)