2014 Fiscal Year Research-status Report
大規模土砂災害後における崩壊地の経年変化を考慮した流出土砂量評価
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26870830
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
輿水 健一 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (30636171)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大規模土砂生産後 / 拡大崩壊 / 崩壊堆積土砂 / 流出土砂 / GIS / 流域土砂管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、大規模土砂生産後の総合的な流域土砂管理のために、河道内に堆積していた土砂の流出のみならず、崩壊発生後の拡大崩壊による新たな生産土砂および河道内に流入せずに崩壊地周辺に堆積した崩壊土砂からの流出の実態を定量的に解析し、各々からの土砂量の多寡を総合的に検討することを目的とする。 本年行った概要を以下に述べる。拡大崩壊による生産土砂については、2003年豪雨災害(最大日雨量:388mm)以降2008年までに拡大した崩壊地を抽出し、過去の空中写真や航空レーザー測量データ、地質図等を用い、個々の崩壊地の拡大面積・拡大する確率およびその地質・地形を把握し、拡大崩壊による生産土砂の多寡を時空間から検討した。崩壊堆積土砂からの土砂流出については、現地踏査にて崩壊堆積土砂内の流出土砂量(浸食痕の体積)が大きく異なると判断された2か所について、その違いを解明するため、現地にて簡易的に崩壊堆積土砂の縦横断測量を行い、その上で室内にて崩壊堆積土砂の傾斜および滑落崖上端と崩壊堆積土砂の上端までの距離をGIS上で計測した。結果は以下のとおりである。 崩壊地が拡大する確率は24%(65/276個)、そのうち2倍以上の面積に拡大したものは6%(4/65個)のため、この規模の拡大崩壊は1.4%(4/276個)であり、ほとんど起こらないことがわかった。拡大面積・拡大する確率は地質・地形特性によって、大きな違いはないことがわかった。拡大崩壊による生産土砂量は豪雨時の生産土砂量に比べ少ないが、平水時の新規崩壊による生産土砂量に匹敵するかそれ以上であることが分かった。 崩壊堆積土砂の流出量は崩壊堆積土砂の傾斜が急であり、かつ滑落崖上端と崩壊堆積土砂の上端までの距離が長い場合は、崩壊堆積土砂内の流出土砂量が多いことが判明した。その理由として表面流が卓越しやすいことが一因として挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、拡大崩壊による生産土砂の解析および崩壊堆積土砂の流出土砂の多寡について予察を行うことが中心であった。当初の予定通り、拡大崩壊の解析については、個々の崩壊地の拡大面積・拡大する確率および、その地質・地形特性を調べた。その上で、流域土砂管理を検討する場合、個々の拡大崩壊地の地質・地形特性といった空間的分布のみならず、拡大崩壊による生産土砂量が平水時・豪雨時・豪雨後の新規崩壊による生産土砂量と比べ、どの程度多いかを調べることも重要であると考え、拡大崩壊による生産土砂量の時系列変化を検討した。 崩壊堆積土砂の流出土砂については、深層崩壊のように大規模な崩壊による崩壊堆積土砂のその後の流出に特に着目した。崩壊堆積土砂および崩壊堆積土砂周辺の地形条件が異なる2か所の流出土砂量の違いを、現地およびGIS解析により検討している。こちらについては、現地調査が残っているため、若干遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、拡大崩壊による生産土砂の多寡を取りまとめる。崩壊堆積土砂の流出土砂については、調査地と選定した2か所の全体像を把握するため、UAVによる撮影を行う。その上で、2か所の崩壊堆積土砂の縦横断測量および流出土砂部分(浸食痕)の縦横断測量を行い、崩壊堆積土砂量に対する流出土砂量を算出する。崩壊堆積土砂の傾斜が緩やかであり、かつ滑落崖上端と崩壊堆積土砂の上端までの距離が短い場合は、表面流が卓越しにくく、パイピング現象が起きていることが考えられるため、パイピング孔も現地調査により確認する。以上のことから、現地調査および航空レーザー測量データによる地形解析から総合的に崩壊堆積土砂内の流出土砂量の違いを検討し、最終的には、崩壊発生後の拡大崩壊による生産土砂および崩壊堆積土砂からの流出土砂の土砂量の多寡を総合的に検討する。
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Causes of Carryover |
本年度、崩壊堆積土砂の流出量の違いは、航空レーザー測量データから崩壊堆積土砂およびその周辺の地形条件が異なることによる表面流の卓越のしやすさが影響してることが推察された。その結果に基づき、次年度に、その要因を解明する現地調査をする必要が生じたため、次年度に使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
崩壊堆積土砂の流出土砂に関する研究の現地調査旅費として使う。
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Research Products
(2 results)