2015 Fiscal Year Annual Research Report
大規模土砂災害後における崩壊地の経年変化を考慮した流出土砂量評価
Project/Area Number |
26870830
|
Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
輿水 健一 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (30636171)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 大規模土砂生産後 / 拡大崩壊 / 崩壊土砂 / 流出土砂 / GIS / 流域土砂管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大規模土砂生産後の総合的な流域土砂管理のために、2003年に北海道日高地方沙流川流域を襲った豪雨災害を例に、以下の2点に取り組んだ。1)豪雨後の拡大崩壊による新たな土砂生産が流域の土砂収支に及ぼす影響。2)崩壊斜面下部から河道にかけて堆積した崩壊土砂の流出量の時系列変化の把握。 1)については、豪雨から5年後の拡大崩壊による生産土砂量を、同期間の新規崩壊による生産土砂量および過去(平水時)の拡大崩壊による生産土砂量をそれぞれ面積で比較した。その結果、豪雨から5年後の拡大崩壊による生産土砂量は、同期間の新規崩壊および過去の拡大崩壊に比べ卓越することがわかった。 2)ついては、昨年度の調査地点2か所のうち、最終年度は流域内で最大の土砂量かつ本流を河道閉塞した1地点を、空中写真、過去の現地写真、航空レーザー測量データ、現地調査から多角的に解析し、豪雨後から現在までの土砂流出量の時系列変化を把握した。その結果、豪雨直後は土砂流出が活発であり、河道閉塞した崩壊土砂は河川営力によって下流域へ土砂が流出した。豪雨から2年後は斜面上に堆積した崩壊土砂の表面浸食が新たに生じた。その後は時間経過に伴う植生被覆により徐々に土砂流出量が少なく推移した。その結果、流出土砂量は崩壊土砂量の数%にすぎず、崩壊土砂の大半が現在も残存しており、今後、2003年に匹敵する豪雨が生じた場合には、多量の土砂を下流域へ流出する可能性が示唆された。 以上の成果から、豪雨後は拡大崩壊からの生産土砂量と崩壊斜面下部から河道にかけて残存した崩壊土砂量の時空的解析を、流域土砂管理の検討に反映させる事の重要性が示唆された。研究成果は、国内学会(4件)、国際学会(1件)において公表し、2論文を投稿中である。
|