2015 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞上の受容体と結合する形態制御無機ナノ粒子による腫瘍悪性化抑止効果の実現
Project/Area Number |
26870836
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
柴 弘太 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, ICYS研究員 (20638126)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 機能性 / 単分散 / 無機有機ハイブリッド / マイクロリアクタ / 細胞毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、安価かつ汎用性の高い新規癌治療法の創出に向け、抗体医薬と同様の機能を発現する無機材料を合成し、癌細胞を用いた機能評価を行うことを目的としている。具体的には、癌細胞増殖を引き起こす物質(リガンド)の形状や表面特性を模倣した無機酸化物ナノ粒子を合成し、癌細胞膜上に発現する受容体に、リガンドに代わって結合させることで、腫瘍悪性化の抑制を目指すものである。 初年度は、肺癌細胞等に高発現する上皮成長因子受容体(EGFR)のEGF結合領域にフィットする表面形状・特性およびサイズのナノ粒子を合成するため、粒子合成システムの構築・最適化に取り組んだ。EGF はEGFRの特定領域(数~十数 nm サイズ)と、静電相互作用および疎水性相互作用により特異的に結合することが明らかにされており、これら条件を満たす粒子をターゲットとした。詳細な検討の結果、申請者が以前に開発・報告した核形成/粒子成長分離型の粒子合成システムをベースに、これを多段階化することで、サイズ10 nm~30 nm程度の酸化物系無機有機ハイブリッドナノ粒子が再現性良く得られることを確認しており、論文として発表済みである。 最終年度は、サイズに加えてEGF結合領域との親和性の鍵となり得る疎水性官能基および正の電荷源として、オクタデシル基およびアミノ基の導入について検討し、これら官能基で機能化したナノ粒子を得ることに成功した。ナノ粒子と細胞の相互作用に関する研究に関しても予備的な検討を進め、粒子存在下における細胞増殖挙動について報告した。その中で、特徴的な発光挙動やゲスト分子の徐放挙動を見出すなど、研究構想段階では予期しなかった成果が得られ、論文発表済みである。以上、研究計画に沿った形の成果を創出しつつ、さらなるバイオ応用展開につながる知見も見出しており、当初期待した以上の成果が得られたと考えている。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] 界面活性剤を用いた水酸アパタイト合成技術の開発2015
Author(s)
片岡卓也, 本塚智, 柴弘太, 大沼清, 大塚雄市, 許哲峰, 多賀谷基博
Organizer
第1回ナノバイオセラミックスによる細胞機能制御テクノロジー研究会
Place of Presentation
新潟県 長岡市 アオーレ長岡 市民ホールD
Year and Date
2015-08-21 – 2015-08-21
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