2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26870838
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小島 陽一郎 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所家畜飼養技術研究領域, 主任研究員 (80577916)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 堆肥発酵熱 / バイナリー発電 / ゼーベック効果発電 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,堆肥発酵熱を高熱源と想定したゼーベック素子を用いたゼーベック効果発電装置を試作するとともに,バイナリー発電方式では,アドバンス理工(旧社名アルバック理工)製の可搬型発電装置を用いた実規模堆肥化施設における発電試験をおこなった。 ゼーベック効果発電装置については,市販のペルチェ素子(TEC1-12708)を用いることとし,素子の発電特性を検証したところ,10℃以上の温度差で発電が可能であることを明らかにした。その後,本素子を1ユニットあたり22枚使用した発電ユニットを4ユニット試作し,堆肥発酵熱を用いて加温した温水を想定した65℃の温水と,22℃の水道水により発電試験をおこなったところ,11.6VA(発電効率1%)の発電が可能であった。 また,バイナリー発電方式については,搾乳牛100頭規模の酪農家(栃木県栃木市)に設置している実規模吸引通気式堆肥化施設(対象容積330m3)に,発電装置を接続し,発酵熱を発電の高熱源とするためのシステムを構築した。試験期間平均65℃程度の排気と農業用水を熱交換して得た温水を,発電の高熱源として,数百Wの発電が可能であった。また,堆肥発酵が良好であれば,最長で切り返し間の58.9時間の連続運転が可能であった。さらに,排気と農業用水の熱交換過程のレイアウトによりエネルギ効率が向上することを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は,当初ゼーベック効果発電方式およびバイナリー発電方式において,発酵熱を想定した条件での発電特性を明らかにすることを計画していた。それに対して,実際には,想定条件での発電特性に加えて,バイナリー発電方式については実規模施設での発電試験を実施し,排気中のアンモニア対策を施した上で,連続・安定的に発電が可能なシステムの構築を達成した。さらに,実際に発電可能な条件を明らかにすることができ,次年度の堆肥発酵条件の検討について具体的な目標設定が可能になった。また,ゼーベック効果発電方式については,計画通り試作装置の発電特性を明らかにすることができ,発酵熱を利用する場合の改良点の抽出が可能であった。以上より,本年度は当初の計画以上に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は,平成26年度で得られた結果をもとに,発電システムの改良をおこなうとともに,より効果的な発電を可能とするような副資材や通気条件等の堆肥発酵条件について検討を行う。 ゼーベック効果発電方式については,熱源の安定性,温度差確保のための改良をおこなうこととする。具体的には,試作機での温水を高熱源に,冷水を低熱源に用いる方式を改良したより効率の良い発電装置を試作する。バイナリー発電方式については,今年度に明らかになった発電可能条件を満たすような堆肥化方式について調査を行い,連続運転が可能な堆肥発酵条件を明らかにする。 また,堆肥発酵条件の検討については,パイロットスケール(430L)の堆肥化装置を用いて,堆肥としての品質を担保しつつ,必要な排気温度およびエクセルギが得られる通気条件を検討するとともに,湿潤な有機性廃棄物の堆肥化行程において通気性改善のために不可欠な副資材の種類についても併せて検討する。 さらに,以上の発酵熱を高熱源とする発電技術に関する一連の開発技術について,得られた結果をとりまとめ,知的財産化および成果の発表を行う。
|
Causes of Carryover |
今年度は,当初の予定より進展し,実規模施設での試験を実施することができた。それに伴って,試験環境の整備が必要になったものの,発電装置のレンタルについては,当初予定よりも安価であった。また,実験補助に関する人件費は不要であった。以上より,本年度予算から若干の繰り越しが生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は,順調に研究が進展したことから,次年度は研究成果発表としてアメリカ農業工学会(ASABE)に参加することとした。次年度使用額については,この成果発表に関する経費に充足することとする。
|
Research Products
(1 results)