2014 Fiscal Year Research-status Report
堆肥表層においてN2O生成に寄与する脱窒群集の解明
Project/Area Number |
26870841
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
前田 高輝 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター 酪農研究領域, 主任研究員 (90435941)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | N2O / 堆肥 |
Outline of Annual Research Achievements |
麦稈を副資材として搾乳牛ふん尿の堆肥化試験を4t規模で行い、2週に一度の頻度で切り返しを行った。 それぞれの切り返し直前の堆肥表層におけるO2, NOおよびN2O濃度についてマイクロセンサーを用いて解析を行った。その結果、堆肥化初期ではいずれも低かったものの、中期以降は表層において顕著なNOおよびN2O濃度が観測された。特にN2O濃度は最大で645ppmにのぼり、堆肥表層がN2O生成源であることが確認された。これまでの結果から堆肥切り返し直後にN2O排出が起こることが示されていたが、今回得られた結果は切り返し間においても同様にN2O生成が活発に起こっていることを示している。 また、切り返し直前の堆肥表層あるいは中心部よりサンプリングを行い、シクロヘキシミドとクロラムフェニコールを用いたカビ、細菌の特異的阻害によるN2O生成への寄与について検討を行った。その結果、いずれのN2O生成もクロラムフェニコールによって大きく阻害される一方で、シクロヘキシミドの阻害効果は極めて限定的であった。このことから、切り返し直後の顕著なN2O排出におけるカビの貢献度は低いと考えられる。堆肥中心部にNO2を混合して得られるN2Oについて、これまでの研究と同様にSP値が20‰程度であることが確認されたが、このN2O排出もクロラムフェニコールによって阻害されることが示されたため、細菌によるN2O排出に新しい経路が存在する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロセンサーによる測定は大きな問題が生じることなく終了し、良好なデータを得られることが出来た。また、抗生物質混合による試験も同様に滞りなく終了し、当初の計画通り研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
堆肥表層にNO2添加あるいはDDTC添加による脱窒促進/阻害区を設け、培養前後における微生物群集の変化について追跡し、N2O排出に寄与する微生物について明らかにする実験を行う。
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Causes of Carryover |
効率的な予算執行を試み、当初よりも幾分低い金額で目的の研究を遂行できたため、次年度以降に繰り越して適切に執行する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画どおりに実験を遂行し、適切に予算を執行する。
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Research Products
(2 results)