2016 Fiscal Year Research-status Report
腸管寄生蠕虫感染におけるM細胞を介した新規粘膜免疫システムの解明
Project/Area Number |
26870849
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
下川 周子 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60708569)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肥満細胞 / ILC2 / IL-33 / 腸管免疫 / 寄生虫感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管寄生蠕虫は、粘膜付近で特殊な免疫応答を誘導し、自らの寄生適応のため宿主免疫を抑制すると同時に、アレルギー反応など有害な免疫応答をも抑制することが示唆されている。しかし、腸管という場の複雑さも手伝い、この特徴的な免疫応答がどのように誘導されるかは分かってない。 本研究では小腸パイエル板に存在する特殊な腸管上皮細胞であるM細胞に着目し、粘膜を起点として感染する寄生虫感染に与えるM細胞の影響を明らかにすることを目的として研究を行った。 方法は、M細胞のマスター転写因子であるSpi-Bを欠損させたマウスに腸管寄生蠕虫であるHeligmosomoides polygyrus (Hp)を感染させることで解析を行った。 昨年度までに我々はSpi-B欠損マウスでは寄生虫感染に対し抵抗性を示すこと、そして骨髄キメラマウスを用いた解析により、その抵抗性は骨髄由来の細胞に依存していることを明らかにした。つまりSpi-B感染で認められたHp感染に対する抵抗性は、M細胞非依存的であることを見出した。更に、Spib欠損マウスでは肥満細胞が増加していることを見出した。 今年度はSpi-B欠損マウスで増殖していた肥満細胞がHp感染に対する防御免役にどのように貢献しているのかを解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで腸管上皮細胞から産生されると考えられていたIL-33が肥満細胞からも産生され、それによって腸管寄生虫の排除に効果的なILC2の増殖、活性化がおき、最終的には杯細胞の過形成を誘導することで排虫を促すということが明らかになった。 本研究により肥満細胞が獲得免疫だけでなく自然免疫応答にも関与する細胞であることが初めて示された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究によって肥満細胞がILC2を活性化し2型免疫応答を誘導することが明らかとなった。 2型免役応答は寄生虫感染に対して生体防御に貢献しているが、一方でアレルギーや炎症性疾患の原因にもなっている。肥満細胞に端を発する2型免役応答の誘導を抑制できれば、アレルギーなど難治性疾患の治療や予防法の確立に寄与できる可能性もある。
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Causes of Carryover |
論文の再投稿の為に追加実験が必要となり、その分の経費を計上した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスや試薬を購入した。
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