2015 Fiscal Year Research-status Report
障害者および支援者による災害時の排泄問題対策に関する研究
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26870861
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 競 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任研究員 (60719326)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 災害時要援護者 / 排泄 / 頸髄損傷 / 障害 / 防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
災害時における障害者は、情報支障、危険回避行動支障、移動行動支障、生活行動支障、適応支障、経済支障等の問題に直面することが知られている。これらの問題に対しては、まずは障害者自身による自助を促すことが重要である。公的な支援が期待できない発災後数日間は、障害の有無に関わらず、自分の生活は自分で守らなければならない。しかし、災害時における障害者の自助を促そうとする取り組みは、国際的にもまだ始まったばかりである。特に、災害時における障害者の生活や尊厳に大きな影響を及ぼす排泄を考慮した対策は具体化されていない。そこで本研究は、災害時における障害者の排泄問題について、障害当事者及び支援者による対策を促進させることを目的とする。 研究期間内に、文献レビュー、インタビュー調査、質問票調査、マニュアル等の資料作成を実施し、以下4点を明らかにする。1.災害時排泄問題に対し障害者自身が準備・実施すべき事項、2.障害者の災害時排泄問題対策に影響する心理社会的要因、3.支援者が実施すべき具体的支援方法、4.災害時排泄問題対策マニュアルの効果。当該年度には、インタビュー調査の成果発表と質問票調査を実施し、災害時排泄問題に対し障害者自身が準備・実施すべき事項、障害者の災害時排泄問題対策に影響する心理社会的要因について検討を行った。 本研究の結果は、障害者が自身で災害時排泄問題への対策を進めることに役立つ。また、支援者が具体的支援方法を考案する際の有用な資料となることも期待できる。本研究は、これまでの災害時に繰り返されてきた障害者の排泄問題に対し、障害者自身と支援者による適切な対策を促進する社会的意義の高いものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度に実施した文献レビューや専門家へのインタビューの結果、対象となる障害を限定し、障害者自身による災害時排泄問題対策に影響を及ぼす心理社会的要因を質的研究手法により抽出する必要があるとの結論に達した。対象とする障害と調査協力組織の選定、質的研究の実施と分析に時間がかかり、質問票調査の実施が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
頸髄損傷の当事者組織メンバーを対象とした質問票調査の分析を実施する。どのような心理社会的特性のあるものが災害時排泄問題対策を実施しているのか、あるいは実施していないのかを、多変量解析により検証する。 文献レビュー、専門家へのインタビュー、質的研究、質問票調査の結果をもとに、頸髄損傷者と支援者のための災害時排泄問題対策マニュアルを作成する。作成したマニュアルを調査協力組織等のホームページ上で公開し、その効果について検証する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れていることから、研究成果発表費用が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は主に、質問票調査の成果発表、災害時排泄問題対策マニュアルの作成に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)