2014 Fiscal Year Research-status Report
日本語母語話者を対象とした日本語音響特徴の聴取訓練法の開発
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26870865
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
網野 加苗 科学警察研究所, 法科学第四部, 研究員 (70630698)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 聴取訓練 / 実用音声学 / 音響特徴量 / 聴能形成 / 母語話者 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本語音響特徴量の聴取と音感の関係を調べるため,予備的な聴取実験を行った.まず,実用音声学(日本語教師,アナウンサー,言語聴覚士など,実務として音声学を用いる職種・分野)の教材を調査し,聴取できることが望ましいものの母語話者であっても聴取困難な場合があると思われる音響特徴量を選択した.それらの音響特徴量について,実音声サンプルを用意し,実験の刺激音を作成した.摩擦音やガ行子音の弁別,アクセント型の弁別および識別,母音の無声化の有無の知覚,円唇・非円唇母音の弁別を今回の対象とした. 次に,言語知覚に関連しているとされる音の要素について,音感の有無または程度を調べるための刺激音を作成した.音の高さの知覚については純音の周波数の弁別閾値,時間の知覚については最短知覚幅(Random Gap Detection Test)と持続時間の弁別閾値,音色の知覚については山付けされた周波数の弁別テストを行うものとした. 10名の健聴な実用音声学者を対象に,上述の音響特徴量と音感の実験を行った.各実験項目について正答率を求め,項目間の相関を調査した.音響特徴量間では,アクセント型の知覚とガ行子音の知覚に有意な正の相関が見られた.また,音感の項目間では,純音の周波数の弁別閾値と山付けされた周波数の識別の間に有意な相関が見られた.音響特徴量と音感の項目については,ガ行子音の知覚と山付けされた周波数の弁別,アクセント型の識別と純音の周波数の弁別閾値および山付けされた周波数の弁別の間に有意な相関が見られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画に基づいて,実験を行った.音感の訓練に当初用いる予定だったソフトウェアの納入前に実験を行うことになったため,自作の刺激音を用いてPraatによる聴取実験を行った.今後の聴取訓練および実験は,当初予定していたソフトウェアを用いて行う.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験において有意な相関が見られた音響特徴量および音感項目について,音感の訓練によって音響特徴量の聴取成績が向上するかどうか検証する.特に音の高さ(物理的には音の周波数)に関連する項目に注目して実験を行う.それ以外の音響特徴量については,実音声サンプルを用いた反復聴取が成績に影響するかどうかを調査する.訓練の方法についても,回数やインターバルについて検討を行う.
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Causes of Carryover |
計画通りに執行したが,各費目において端数が生じたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品費に充当する.
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Research Products
(2 results)