2014 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症においてストレスがテロメア短縮を引き起こす分子基盤の解明
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26870878
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
鳥海 和也 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 研究員 (10549421)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 統合失調症 / テロメア / ストレス / 抗精神病薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、末梢血ゲノムサンプルを用い、日本人統合失調症患者においても、テロメアの短縮が認められるかについて検討した。本実験は、倫理委員会の承認を得て、被験者にはインフォームドコンセントののち文書にて同意を得て行われた。統合失調症患者42名 (男/女=23/19; 平均年齢49.81歳)、健常者56名 (男/女=30/26; 平均年齢46.84歳) を対象とし、テロメア長の測定はリアルタイムPCRにより行った。その結果、先行研究と同様に、日本人統合失調症患者では欧米で結果と同様に、有意にテロメア長の短縮が認められた。 次に、このテロメア短縮の原因として、抗精神病薬の服用の影響が疑われたため、野生型マウスに抗精神病薬を連続投与し、テロメア長への影響を評価した。8週齢のマウスに2週間投与を行ったところ、オランザピン、リスペリドン、アリピプラゾールなどの様々な受容体に拮抗作用をもつ第二世代抗精神病薬において、海馬でのテロメア長の伸長が確認された。一方で、主にドパミンD2受容体拮抗作用のみをもつ第一世代抗精神病薬ハロペリドールでは、この伸長効果は認められなかった。 また、3週齢から8週齢まで社会的隔離飼育ストレスを負荷することにより、ストレス負荷による統合失調症マウスモデルを作成した。各種行動試験を行うことで、統合失調症様の行動試験を生じていること、また生化学的な解析により海馬テロメア長の短縮を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調であると言えるが、テロメア短縮に関わる責任遺伝子の同定に先んじて、抗精神病薬のテロマ長に対する効果について検討を行った。結果として、重要な知見を得ることができた。また、今年度は責任遺伝子の同定に用いるためのマウスモデルの確立に力を入れた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、確立した統合失調症モデルマウスを用い、責任遺伝子の道程を行いたいと考えている。また、新たな研究計画として、抗精神病薬がテロメアに与える影響をより詳細に検討することで、テロメア短縮がどのような病態に関与しているのかについて明らかにしていければと考えている。
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Causes of Carryover |
当科研費において購入を予定していた脳定位固定装置を共同利用することができ、購入する必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「抗精神病薬がテロメアに与える影響をより詳細に検討を行う」という本申請から派生した計画の推進にかかる消耗品の購入に充てる。また、来年度以降、初年度に行えなかった実験計画を進めるにあたり、初年度の繰越し費用を充てたいと考えている。
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Research Products
(3 results)