2014 Fiscal Year Research-status Report
戦後精神病床入院の社会政策史研究:公的支出形態の3類型の視点から
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26870885
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
後藤 基行 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所精神保健計画研究部, 流動研究員 (70722396)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 精神衛生法 / 同意入院 / 医療扶助入院 / 措置入院 / 精神病床入院 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度までの研究における本研究企画の成果として主たるものは、1950年代から70年代にかけての急激な精神病床増のあった時代において、措置入院及び生活保護の医療扶助入院の実証研究が行われたことである。 とりわけ、生活保護での入院はその大多数が、精神衛生法下の同意入院(家族の同意による入院)によって行われており、この同意入院について一次行政資料を利用して研究を行った。その結果、同意入院には生活保護を利用しやすくなる財政的・入院形態上のインセンティブがかけられていたことが明らかになった。同時に、1950年代から70年代は、精神病床が現在の数字に近い30万に到達する時代であるが、この時期において同意入院―生活保護の組合せが極めて重要な役割を果たしていたことが判明した。 以上の成果は、先行研究が、精神衛生法に対して公安主義的な解釈を行っていることに対し、実証的な反証となる可能性が認められる。つまり、精神衛生法の時代において、病床供給を財政的に最も強力に牽引していたのは、公安的な要素が含まれる措置入院ではなく、家族というケアラーのディマンドを反映した、生活保護法での公費入院だったのである。 よって,申請者のいう3類型の観点から戦後の精神病床の展開を捉えると,そこに抽出されてくるのは,日本の高水準の精神病床ストックの成立は,先行研究の指摘する公安主義的な精神医療政策や,民間精神科病院の営利主義による患者の大量収容というよりも,患者の入院を望む家族側の需要の広がりと,それを救貧・公的扶助的な体制によって引き受ける制度としての生活保護法の拡充によって構築された,という新しいパースペクティブが開かれていく可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画においては、精神病床入院を3種のタイプに類型化し、その戦後における実証研究を行うこととしていたが、その内の「公的扶助型」については原著論文執筆(査読中)も行われるなど、一程度の成果アウトプットまでたどり着いた。 今後とも、順調な研究の進捗を図ると共に、論文・学会報告などの形で成果を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進においても、大きな変更はない。よって、精神病床入院の3類型に従った分析を,戦後にフォーカスを当てて継続的に行う。この目的については,これまでの研究での到達点を踏まえ,更なる理論的・実証的な肉付け・拡充を戦後について実施する計画であり,問題設定はクリアになっているため研究の方向性は明確である。
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Causes of Carryover |
旅費として支出予定だったものが、各種の都合で出張が出来なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は各地への資料調査と共に、資料のデジタル化を進めたい
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Research Products
(2 results)