2015 Fiscal Year Research-status Report
ミュージアムにおける鑑賞者開発の研究;新来館者の定着に向けた実証的調査分析
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26870895
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Research Institution | Tokyo National Museum |
Principal Investigator |
関谷 泰弘 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 総務部, 係長 (80727397)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 博物館経営 / ミュージアム・マネジメント / ミュージアム・マーケティング / 鑑賞者開発 / 博物館学 / アート・マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は主に英国・米国ミュージアムのヒアリング・実地調査及びこれまでの成果の発表を行った。 英国では、平成27年7月26日~8月3日にかけて、ロンドン及びオックスフォードにて大英博物館等主要ミュージアムのヒアリング調査を実施し、メールでの回答2件を含め合計7件の回答を得た。米国では、平成28年2月29日~3月8日にかけて、ワシントンDC、ニューヨーク及びクリーブランドにおいてメトロポリタン美術館等主要ミュージアムのヒアリング調査を実施し、1機関、5ミュージアムの合計6件の回答を得ることができた。 調査結果からは英国、米国のミュージアムにおける鑑賞者開発への取組みと日本との違いが良く分かった。英国では国をあげて鑑賞者開発を推進していることもあり、多くのミュージアムで鑑賞者開発の部署を設け、鑑賞者開発戦略を策定し、目標を設定して実際の事業に結び付けている。一方、米国においては鑑賞者開発という形では戦略付けられたり、部署を設けているミュージアムは少ないが、主にマーケティングの一環として事業を実施している。 成果の発表としては、平成26年度の調査結果を元に、平成27年年度に文化経済学会にて論文発表を行うとともに、国際博物館協会・広報マーケティング部会(ICOM-MPR)2015アルメニア大会にて口頭発表(平成27年10月25日)を行っている。また、国際博物館協会・広報マーケティング部会(ICOM-MPR)2014台湾大会における平成26年度の口頭発表を発展・再構築し、同大会の論文集にて発表している。 そのほか、平成26年度に実施した国内ミュージアムへのアンケート調査の結果を調査参加館に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は3年計画の2年目であり、計画では国内外現地調査及びヒアリング調査を実施する予定であった。海外調査は計画通り順調に実施できた。しかし、国内調査の前提となる国内ミュージアムへのアンケート調査の分析が遅れたため、国内調査は計画を変更し、平成28年度に実施することとした。全体としては、大きな遅れではないので、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、まず、全体計画の中で、これまで未実施だった調査を実施する。具体的には、国内の実地調査及びインターネットによるミュージアムと来館者/非来館者との関係を調査する。これらの結果と、平成26年度に実施した鑑賞者開発イベントにおけるパイロット調査、国内ミュージアムへのアンケート調査及び平成27年度に実施した海外ミュージアムヒアリング・実地調査の結果を反映させ、再度、鑑賞者開発イベントにおいて調査を実施し、最終的に我が国における鑑賞者開発戦略仮説を形作る計画である。結果は論文等の形で公表する予定である。 なお、本研究は、平成27年度 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)に採択されたため、平成28年度中に出国し、平成29年度にかけて、海外のミュージアムにおいて、本研究を発展させて継続する予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度に当初計画段階では予定していなかった鑑賞者開発事業が所属館の予算で実施可能となったため、当初計画を大幅に変更して、初年度実施予定であったインターネット調査を3年目である平成28年度に移行して実施することにした。そのため、2年連続で初年度に措置された予算が次年度に繰り越され、次年度使用額が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該予算は3年目である平成28年度にインターネット調査等の実施費用として、全額執行予定である。
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Research Products
(3 results)