2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26870901
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岩崎 渉 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 製造技術研究部門, 研究員 (20712508)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 圧電デバイス / ScAlN / 振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では一般的な圧電体材料であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)やAlN(窒化アルミニウム)では無く、AlNにスカンジウムを添加することで発電性能を向上させた新規の圧電体であるScAlN(窒化スカンジウムアルミニウム)を用いた振動発電デバイス開発を試みた。まず初めにScAlNの加工方法について検討した。一般的なMEMSの加工プロセスであるフォトリソグラフィーを行い、ウェットエッチングによりフォトレジストにダメージを与えることなく、ScAlNをパターニングするためのエッチング液の条件を検討した。本実験ではリン酸、硝酸、酢酸の混酸を用いてウェットエッチングを試みた。リン酸を50~67%、硝酸を7~12%、酢酸を5~7%の濃度でエッチングの条件を検討した。リン酸、硝酸、酢酸の混酸を用いることで濃度によらずエッチングすることに成功したが、リン酸、硝酸の濃度が高くなるとエッチング速度が増加する傾向となった。この条件を用いて低周波で振動可能な振動発電デバイスの作製を試みた。表面にSiO2膜が形成されたSOI基板のデバイス層にCr/Au/Crの下部電極をその上にScAlNを、更にその上にCr/Au/Crの上部電極をそれぞれスパッタリングにより堆積し、リソグラフィーとウェットエッチングにより数種類の構造のパターニングを行った。また、生体の活動で発生する振動を調査するために、人が運動した際の頭部や指先等の振動数を評価した。ウェアラブルセンサを額、耳たぶ、指先に装着し、時速6~10kmでランニングしている時の振動周期を測定した。この時、運動時の振動周期は2Hz前後で落ち着くことがわかった。今後はその周期で共振するようなデバイスを作製する必要がある。
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