2015 Fiscal Year Research-status Report
栄養不足に起因する胎児の膵臓β細胞の発生障害の分子メカニズムの解明
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26870906
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
安永 茉由 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究員 (70712181)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | microRNA / 胎児期 / 栄養不足 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は筋芽細胞株C2C12の骨芽細胞分化誘導系の立ち上げを行った。 近年新たに膵臓のβ細胞数の維持には骨の骨芽細胞によるオステオカルシンの分泌が必須であることが報告された。また妊娠マウスでの栄養不足モデルにおける仔の骨成長不良も報告されており、骨芽細胞と膵臓β細胞の相互作用が想定された。そこで骨芽細胞分化誘導系を用いたin vitroでの栄養不足モデルを構築し、miRNAや遺伝子発現について解析を行うこととした。 まず骨芽細胞分化誘導系を立ち上げるため、いくつかある培養細胞より筋芽細胞株であるC2C12を選択した。C2C12にリコンビナントBmp2(300 ng/ml)を加えるという最もスタンダードな方法を用いて骨芽細胞への分化誘導を行った。そして分化誘導の確認のため、誘導1週間後の培養上清におけるアルカリホスファターゼ活性および分化誘導した細胞での骨芽細胞マーカーであるオステオカルシンの発現量の定量を行った。結果、顕著なアルカリフォスファターゼ活性の増加およびオステオカルシンの発現上昇が観察できなかった。 現在は分化誘導時の細胞数や培地交換のタイミングなどを検証しつつ、低栄養モデルにおける条件検討を行っている。具体的には低栄養モデルとして、血清の低濃度や低培地成分でのモデルの検証を行っている。また膵β細胞との相互作用を検証するため、分化誘導後の骨芽細胞においてインスリンレセプターの発現量を定量する予定で現在その準備も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は新たに膵β細胞と骨芽細胞との相互作用検証を目的にin vitroでの低栄養モデル構築の準備に着手することができた。In vitroでの低栄養モデルの構築により、遺伝子やmiRNAのノックダウンまたは過剰発現を簡便に行うことができ、メカニズム解明に向け円滑に実験を遂行できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で予定していた妊娠期での母親の栄養不足に起因する胎児の膵臓β細胞の発生障害の分子メカニズムの一端の解明であるが、膵臓での網羅的発現解析をはじめ発現変動するmiRNAとエピジェネティックな発現制御との関連性が示唆され始めた。そこで近年新たに注目され始めた膵β細胞の発生に関わる骨芽細胞が分泌するホルモン(オステオカルシン)の発現変動についても解析を進め、骨組織と膵臓との組織間相互作用についても明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
次年度、妊娠期での母親の栄養不足によって発症する低体重児II型糖尿病発症モデルを利用したmiRNAの発現解析を行うため。また解析対象の標的臓器を膵臓だけではなく骨組織も加えるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大型備品購入の予定はなく、実験動物、遺伝子発現解析試薬等の消耗品を中心に使用することを予定している。また論文作成のための英文校正費や学会発表時の旅費に充てる予定である。
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