2015 Fiscal Year Research-status Report
局所加熱による溶融液相を用いたチタン酸化合物球状粒子の合成
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26870908
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
石川 善恵 国立研究開発法人産業技術総合研究所, ナノ材料研究部門, 主任研究員 (20509129)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 液中レーザー溶融法 / レーザープロセッシング / サブミクロン球状粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
エタノール中における酸化チタン(アナタース)分散液のレーザー照射により得られる球状酸化チタンのフルーエンス依存性について検討した。既報の研究では生成粒子の自然沈降で回収出来た粒子のみを分析していたが、本研究では遠心分離機を用いて、全生成粒子を回収し、SEMによる観察を行った。66 mJ cm-2 pulse-1で球状粒子が観察されはじめ、それらのサイズ分布ヒストグラムでは、200 nmを単独のピークとした半値幅が約80 nmのサイズ分布が得られた。110 mJ cm-2 pulse-1ではサイズ分布が広くなり、約100 nmに小さなピークと400 nmに大きなピークが見られた。さらに200 mJ cm-2 pulse-1ではサイズ分布が広くなり、100 nmに小さな、600 nmに大きなピークが見られた。この様なサイズ分布の二峰性はフルーエンスの増大に従い顕著になり、その際に200 nm付近を中心として、粒子の存在率が減少していくことが明らかになった。このような結果は、ミー理論を基にした粒子の吸収断面積のサイズ依存性を考慮した、相変化に必要なフルーエンスのサイズ依存曲線により説明出来る。この曲線は200 nmを極小とした下に凸の形をしている。このことは、他のサイズよりも200 nm程度の粒子が比較的低いフルーエンスによって相変化(溶融や気化)しやすいことを示している。これらの結果より、低エネルギー密度では200 nmのサイズの球状粒子が溶融によって選択的に生成し、高エネルギー密度では200 nmサイズの粒子が選択的に気化することから消失したと考えられる。また、本研究でレーザー照射後の生成物を厳密に回収することによって、これまで報告されてきたサブミクロン球状粒子だけではなく、ナノ球状粒子も生成することが初めて明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題においても重要な、液中レーザー溶融法の詳細な球状粒子生成メカニズムを明らかにすることが出来た。また本課題でも重要な役割を果たす酸化チタンのレーザーフルーエンス依存性のメカニズムについて明らかにすることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度に得られた結果を基に、チタン酸化合物の合成に取り組む。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で、より単純な系での液中レーザー溶融法の詳細なメカニズム解明の必要性が出てきたため、当初の複合化合物を作製する計画から、酸化チタン単独の系の詳細を明らかにすることに計画を変更した。そのため当初、混合粒子を得るために必要となる消耗品を購入する予定であった予算の執行を行わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
混合粒子調製に必要となる消耗品(ミル用ビーズ等)の購入と、混合分散液調製、照射の研究を迅速に進めるために技術補助員の雇用を行う。
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Research Products
(3 results)