2014 Fiscal Year Research-status Report
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26870920
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
橋本 理尋 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 老化細胞研究PT, 流動研究員 (90724253)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞老化 / 2型糖尿病 / 白色脂肪組織 / インビボイメージングシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
日本では2型糖尿病の罹患率の増加が重大な社会問題となっており、その発症メカニズムの解明や疾患治療法の開発が急がれている。本研究の目的は、脂肪組織における老化細胞の増加が加齢に伴うインスリン抵抗性に与える影響を検証し、加齢に伴い一旦低下したインスリン感受性が老化細胞の除去により可逆的に回復可能であるかを調べ、老化細胞が2型糖尿病治療薬開発の有効なターゲットと成り得るかを検証することにある。 この検証を行うために、我々はまずインビボイメージングシステムにより、生きたまま生体内の細胞老化を検出可能であり、かつジフテリアトキシン投与により生体組織内から老化細胞を特異的に除去可能なトランスジェニックマウスの樹立を行った。初年度は、まずマウスコロニーの拡大を行い、インビボイメージングシステムによる生体内での細胞老化の動態解析を行った。老齢マウスでは肺と脂肪組織で顕著な細胞老化の出現が認められた。次に、老齢モデルマウスにジフテリアトキシンを投与し、脂肪組織における老化細胞の除去を試みた。現在のところ原因は不明であるが、インビボイメージングシステムによる観察では、ジフテリアトキシンを投与しても、すべての老齢マウスの脂肪組織から老化細胞が除去されるという期待通りの結果は得られなかった。現在解明を進めているが、十分に脂肪滴が発達した白色脂肪には、ジフテリアトキシンが効力を発揮しないものと思われる。このような問題が生じたため、研究にはわずかな遅れが生じた。 次に、ジフテリアトキシン投与により老化細胞の減少が認められた老齢マウスを用いて、インスリン抵抗性に緩和が見られるかを検討し、わずかではあるが、インスリン抵抗性に改善傾向が認められた。まだ検証段階ではあるが、この結果はとても興味深い結果である。平成27年度も引き続き解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始前は、ジフテリアトキシン投与によりすべての老齢マウスの脂肪組織から老化細胞が除去されるものと予想していたが、期待に反して除去が確認できないマウスが存在することが明らかとなった。我々は、老化細胞の除去あるいは減少が認められた老齢マウスを用いることで、着実に研究を進展させている。しかしながら、老化細胞の除去が確認できたマウスの個体数が当初の予定通り確保できなかったため、研究全体の達成度としては、研究計画と比較してやや遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
より多くの老齢マウスの脂肪組織から老化細胞の除去が可能なジフテリアトキシンの投与法などの条件検討を行い、研究推進に必要なトランスジェニックマウスの個体数確保に努める。 また、老化細胞の除去が認められた老齢マウスで脂肪組織の老化マーカーやSASPの発現レベル、アディポカインの分泌などを詳細に検討することにより、脂肪組織における老化細胞の増加が加齢に伴うインスリン抵抗性に与える影響を解明していく。
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