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2014 Fiscal Year Research-status Report

アジュバントエイズウイルスを用いた強毒株SHIV生体内排除機構の解析

Research Project

Project/Area Number 26870924
Research Institution独立行政法人医薬基盤研究所

Principal Investigator

岡村 智崇  独立行政法人医薬基盤研究所, 霊長類医科学研究センター, 研究員 (20549703)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
Keywordsアジュバント / エイズウイルス / 細胞性免疫 / サル動物モデル / エフェクターメモリーT細胞
Outline of Annual Research Achievements

抗酸菌の抗原タンパクの一つであるAg85B は、細胞性免疫指向性のアジュバント活性をもつことが明らかである。本研究の目的は弱毒化したエイズウイルスの免疫原性能を高め、エイズウイルスを制御する防御免疫機構を明らかにすることである。本年度は、SHIV-Ag85Bを接種したカニクイザルの防御免疫反応について詳細な検討を行った。SHIV-Ag85Bを接種したサルのウイルスは接種初期より血漿中および細胞内において不検出となり、持続感染の成立がみられなかった。これらのサルの免疫反応は、接種後2週においてウイルス抗原特異的IFN-γ産生CD8+エフェクターメモリーT細胞の強力な誘導が認められ、また、この免疫反応はウイルスの不検出と共に消失することを確認した。一方、比較対象株SHIV-NIを接種したサルでは持続的なウイルス感染が認められ、これらのサルの細胞性免疫反応は、SHIV-Ag85B接種群と比較して低値を示した。次に強毒株SHIV89.6Pを攻撃接種したところ、SHIV-Ag85B接種サル7頭中6頭において強毒株ウイルスを完全に制御した。これら6頭は攻撃接種後、直ちに強力なIFN-γ産生エフェクターメモリーCD8+ T細胞の再誘導が確認され、その誘導はSHIV-Ag85B接種時よりも、強い反応が認められた。一方、SHIV-NI接種サル全頭(5頭)およびSHIV-Ag85B接種サル1頭では、強毒株接種後ウイルスの制御は不完全であった。これら非制御6頭の免疫反応は、制御した6頭と比較すると低値を示した。これらの結果から、SHIV-Ag58B接種後のウイルス制御および強毒株SHIVの制御には抗原特異的エフェクターメモリーT細胞の誘導が重要であることが推測された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成26年度の研究期間内において、主にエイズウイルスの制御する免疫反応を明らかにすることに重点をおいた。そこで、SHIV-Ag85B接種カニクイザルを用いて、免疫反応とウイルスの制御について詳細に検討を行った。結果、IFN-γ産生抗原特異的エフェクターメモリーCD8+T細胞の誘導が、エイズウイルスの制御に極めて重要であることが推測された。また、興味深いことにSHIV-Ag85B接種サルは、生体内においてウイルスが不検出になると免疫反応を消失し、長期的な慢性炎症状態を生じないことが明らかになった。これらの結果、このSHIV-Ag85B接種サルを用いて、エイズウイルスの生体内排除機構を明らかにする事は、今後のエイズワクチンや治療薬の開発において極めて重要であると考えられた。
以上、これまでに得られた結果をふまえ、申請者は、研究の進捗状況は、おおむね順調に進展していると考えている。

Strategy for Future Research Activity

上述したようにSHIV-Ag85B接種サルの生体内の免疫機構とウイルス排除を解明することは、エイズウイルスの根治に向けて極めて重要である。平成27年度に計画している研究では、まずウイルスの排除機構の証明を行う。SHIV-Ag85Bを接種したカニクイザルは、接種初期のみウイルスが検出されるが、その後ウイルスRNAおよびDNAが不検出となり持続感染が認められない。SHIV-Ag85Bが生体内より排除されていることを、SPFサル(SHIV非感染)を用いた細胞移植実験を行い、得られた血液や組織サンプルを用いて超高感度PCR法により検討を行う。また同様にSHIV-Ag85B接種サルにおいて強毒株の制御が認められた個体についても同様の方法を用いて行う。
次にSHIV-Ag85の免疫原性能の増幅機構の解明を行う。これまでの研究で、SHIV-Ag85B接種サルは、FN-γ産生抗原特異的エフェクターメモリーCD8+T細胞を誘導する。この誘導機構を解明するためSHIV-Ag85B感染初期の免疫応答について、培養細胞を用いて行う。SHIV感染後の培養細胞上清を用いたサイトカイン産生や感染細胞より抽出したmRNAを用いて、炎症性サイトカイン遺伝子やType I IFN関連遺伝子等の中心に網羅的に解析を行う。
以上、SHIV-Ag85B接種サルを用いて、エイズウイルスの排除機構を解明する事で、エイズウイルス完全治癒に向けた治療薬やワクチン開発につなげていきたいと考えている。

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Published: 2016-06-01  

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