2015 Fiscal Year Research-status Report
preplay現象のヒトにおける実証と,その計算論的意義の解明
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26870934
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
倉重 宏樹 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特任研究員 (80513689)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自発脳活動 / fMRI / 学習 / スキーマ / デコーディング / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の主たる研究実績として,まず前年度に行った自発脳活動のデコーディング解析および大規模データベースを活用した自発脳活動の解析に更なる進展があった. デコーディング解析は,手指と手関節の運動を検出できるようにした識別器を自発脳活動データに適用し,各運動の神経表現が自発脳活動中に内在しているかを調べるものである.主な進展として,検定法を工夫することで結果の精度をさらに高め,自発脳活動中にボクセルレベルで組織化された運動表現が含まれているという結論をさらに強めたことがあげられる.本結果は査読付き国際会議論文として発表された. また,大規模データベースを活用した自発脳活動の解析では,まずデータベースより109個の認知機能に対応する脳賦活マップを再構成し,それらのマップと全脳の各ボクセルの間の機能的結合を求め,それを基に全脳を分割する手法を開発した.この手法で得られた脳の各区分は109個の認知機能との連関度をラベルとして持つため,機能的解釈が容易であるという特長を持つ.本研究ではさらに,得られた各区分をノードとみなしての,ネットワーク解析を行った.その結果,視覚・注意,運動・表出,および概念処理にかかわるネットワークが強いクラスタ性を持っていること,記憶にかかわる脳部位が多様な情報源から情報を集めていること等が判明した.また上述の脳賦活マップとボクセルの機能的結合を利用し,認知機能概念の概念分析を行う手法の開発も行った.これらの結果は,国際学会および研究会での招待講演で発表し,現在論文執筆中である. また平成27年度のもう一つの実績としては,自発脳活動の自己組織化がヒトの学習について持つ意義を検討するための実験課題の確立があげられる.とくに,スキーマ理論を実験課題設計の基礎に据えることで,実験で検証したい事項をより明確にすることができた.実験実施は平成28年度夏季を予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度に行った自発脳活動についての検討により,当該研究を進めるための必須の要素技術である神経デコーディング解析については,ほぼ開発が終了したと考える.また,前年度得られた結果はさらに精緻化され,神経科学的に非常に重要な成果が得られており,査読付き国際会議論文としての発表も行うことができた.また,自発脳活動に関するさらなる研究として,大規模データベースを利用した自発脳活動ベースの脳分割法,さらにそれを利用したネットワーク解析法,認知概念の概念分析法等の開発も行い,これらについても非常に重要な成果を得ることができ,さらに論文執筆も進めているところである.したがって,自発脳活動解析についての要素技術開発という点では,本研究課題を遂行するための十分な下地を得ることができた.さらに,広い文献調査を行うことで,研究立案段階では関連を認識していなかったスキーマ理論と本研究の関連を見出すことができた.そのことにより,目標をより明確化した実験課題の確立を行うことができた. しかしながら,当初目標としていた,被験者を募り,被験者に課題を行わせつつfMRI撮像を行う本実験の段階には至らなかった.したがって,その点を考えると,現在までの進捗状況はやや遅れているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度においてもっとも注力して行うべきは,平成27年度の研究において課題を確立した実験の実施である.実験課題は学習に関するものであり,一人の被験者につき,2ないし3日連続しての実験を行う.そのため,実験は被験者を募りやすい夏季に集中して行う.また,スキーマ理論と本研究の関連を探るにつれ,スキーマと獲得される情報の関係にはバリエーションがあり,それらは本研究で当初考えていた学習の様式からは外れるものの,実験課題に多少の変更を加えることで,本研究のスコープに加えられそうであると思われた.そこで,さらに追加の実験課題を準備し,スキーマ理論との関連性のもとで,研究を拡張する.この追加実験は,上述した夏季に実施予定の実験と同時期ないし終了後直ちに開始する予定である. また,平成27年度に得られた,大規模データベースを利用した自発脳活動の研究結果の論文発表も行っていく.現在,この結果については2本の論文を準備中である.これらは6月ごろをめどに投稿を完了する予定である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,平成27年度は,実験課題の確立までは行ったが,本実験の開始には至らず,被験者謝金の使用が生じなかったためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用の主なものとして,MRI実験の被験者謝金としての支出を計画している.平成27年度に課題の確立を行ったMRI実験では,各人3日間の実験を行い,20,000円を謝金として支払う予定である.被験者数は60人を予定しており,よってこの実験では1,200,000円が支出される予定である.また,さらに現在確立を目指している追加のMRI実験は,各人2日間の実験を行い,15,000円を謝金として支払う予定である.被験者数は40人を予定しており,よってこの実験では600,000円を支出する予定である.さらに,MRI撮像を伴わない行動実験も予定しており,各人5,000円を謝金として支払う予定である.被験者数は40人を予定しており,よってこの実験では200,000円を支出する予定である.このほか,書籍購入や実験施設へ行くための交通費等の小額支出を予定している.
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[Presentation] 脳全体の機能に迫る2016
Author(s)
倉重 宏樹
Organizer
第13回全脳アーキテクチャ勉強会
Place of Presentation
グラントウキョウサウスタワー (東京都千代田区)
Year and Date
2016-03-15 – 2016-03-15
Invited
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