2015 Fiscal Year Annual Research Report
教科書における知識の展開過程を反映したテキストの計量言語学的分析
Project/Area Number |
26880005
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
浅石 卓真 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 助教 (10735632)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 教科書 / 計量情報学 / 計量言語学 / 専門語彙 / ネットワーク分析 / 教育学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、情報メディア上での知識の形成過程を、教科書を対象として明らかにした。はじめに対象を高校の理科に絞り、教科書を読み進めていく際に概念が体系化されていく過程を、テキスト中の専門用語を頂点、同一段落中の共起関係を辺とする語彙ネットワークの成長過程として分析した。主な結果は以下の4点である。(1) 全体的に新しい概念はコンスタントに出現していくが、新しい概念が多く出現する部分も見られる。(2) 殆どの概念は初出時から他のいずれかの概念と結びついており、部分的な概念体系の中で最大のものが一貫して概念全体の大部分を占めている。(3) 個々の概念はより多くの概念と直接的に結びつけられていく。また、最大の概念体系の中で概念同士は平均で2~3、最大でも4~8程度の概念を介して間接的に結びついており、部分的な概念集合の中で強く結びついている。(4) 少数の概念が特に多くの概念と直接的に結びついたり、概念同士の間接的な結びつきを仲介・媒介する傾向は次第に弱まる。いずれの教科書でも専門用語がランダムに出現した場合とは語彙ネットワークの成長過程は明らかに異なり、教科書間で多くの傾向が共通する一方で科目ごとの特徴も一部に見られた。
さらに、中学と高校の理科教科書について知識の形成過程を比較した。主な結果は以下の通りである。(1) 中学より高校の方が新しい概念が早いペースで出現する。(2) 高校では最大の部分的な概念体系が一貫して突出しているが、中学ではいくつかの部分的な概念体系が途中まで独立に成長する。(3) 中学より高校の方が、平均的により多くの概念同士が直接的に結びついていく。(4) 中学・高校共に、少数の概念が特に多くの概念と直接的に結びついたり、概念同士の間接的な結びつきを仲介・媒介する傾向は次第に弱まる。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)