2014 Fiscal Year Annual Research Report
グラフの階層描画におけるSugiyama methodへの厳密アルゴリズムの適用
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26880018
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
小林 靖明 学習院大学, 付置研究所, 助教 (60735083)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | グラフアルゴリズム / グラフ描画 / パス幅 |
Outline of Annual Research Achievements |
2部グラフの2層描画を求めるアルゴリズムの開発を行った.このアルゴリズムは,与えられるグラフの頂点数がnのとき,交差数がk以下の2層描画が存在するかを2^{O(k)}n^{O(1)}時間で判定し,判定結果がYesであるとき,そのような描画を求めるアルゴリズムである.この結果は,申請者を含む研究グループによる2013年の結果2^{O(k log k)}n^{O(1)}時間アルゴリズムの実行時間の指数部を改善することに成功している. この2013年の結果は,与えられるグラフと等価な,つまり最少辺交差数が同じグラフが,そのグラフの辺数がパラメータに依存する関数で抑えられるようなものを求めるアルゴリズムを開発したが,さらに,本年度はこの結果のアルゴリズムの更なる改良に成功し,論文誌Theoretical Computer Scienceに採択された. また,グラフの階層描画とも関係のあるグラフパラメータである,パス幅を求めるアルゴリズムの理論的進展もあった.n頂点の有向グラフが与えられたとき,そのグラフの(有向)パス幅を求める3^kn^{O(1)}時間アルゴリズムの開発を行った.ここでkは与えられたグラフの点カバーの大きさであるとする.この結果は,Chapelleらの結果(WADS2013)を有向グラフに一般化しつつ,かつ大幅に単純化することに成功しており,論文誌Information Processing Lettersに採択されている. SeymourらのグループやPilipczukらがトーナメントやその一般化である準完全グラフに対して,グラフのパス幅やカット幅を用いて,topological containmentやimmersion containmentといった問題に対する固定パラメータアルゴリズムを与えたが,それらの結果をさらに一般的なグラフクラスに適用するべく,準完全グラフを一般化したグラフクラスに対して,パス幅を求める固定パラメータアルゴリズムを与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラフが2階層のときに対するアルゴリズムに関しての理論的な成果をあげることができた.多階層グラフに対する実用的な厳密アルゴリズムの設計および実装に関する進度は以下のようである. まず,Sugiyama methodのキーとなる辺交差数の削減アルゴリズム(One Sided Crossing Minimization)に関しては,本研究期間以前から部分的に実装を行っており,研究期間に入ってから,その実装を完成させ,十分に疎な(実用上で現れると思われるような)インスタンスに関して,高速に動作することを確認した.多階層のグラフに対して繰り返し適用可能であるように作り直した. その一方で,Sugiyama methodで必要な閉路の除去と頂点の階層割り当てに関しては,前者については素朴な厳密アルゴリズムとヒューリスティックアルゴリズムの実装のみ行っている状態であり,また後者に関してはどのような厳密アルゴリズムを設計すべきかを思案中である. これらを当初の研究計画と比較して,おおむね順調であると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
Sugiyama methodにおける閉路の除去アルゴリズムの改良および頂点の階層割り当ての厳密アルゴリズムの提案を行う. 特に,閉路の除去(有向フィードバック辺集合問題)への厳密アルゴリズムの研究では,重要な問題がいくつか知られており,それらに対するなんらかの進展も視野に入れ研究を進める.
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Research Products
(5 results)