2014 Fiscal Year Annual Research Report
表情知覚における顔色手がかりの機序―多人種を対象とした脳活動・遺伝子からの検討―
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26880026
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
中島 加惠 関西学院大学, 理工学部, 助教 (50733408)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 顔色 / 表情 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
表情知覚に与える顔色の効果について,次の2つの実験を実施した. 1、表情知覚における顔色と背景色の影響 これまでに申請者は,顔色が表情知覚に影響を与えることを示した.一方で,Youngら(2013)は,色が表情知覚に影響を及ぼすことを示している.そこで,これまで申請者が示してきた顔色の効果が,単なる色の効果なのか,それとも顔色特有の効果なのかを検証するために心理物理実験を行った.恐怖表情と怒り表情をモーフィングした画像を,顔色条件(顔色:青っぽい,赤っぽい; 背景色: グレー),背景色条件(顔色: 自然色; 背景色: 青,赤),コントロール条件(顔色:自然色,背景色:グレー)の5条件で呈示した.被験者12名(女性6名)は,呈示された顔の表情が「恐怖」か「怒り」かを応答した.その結果,顔色,背景色どちらの条件でも,コントロール条件に比べて,青色条件では恐怖判別率が,赤色条件では怒り判別率が高った.さらに,顔色条件と背景色条件を比較すると,顔色条件において強い色の効果が得られた.これらの結果から,表情知覚における顔色の重要性が示唆された. 2、fMRIを用いた顔色効果の神経基盤の解明 顔色による表情知覚処理の促進効果の脳内処理メカニズムを明らかとするために,fMRIを用いた実験を行った.表情と顔色を操作した10条件(3表情(恐怖100%,恐怖50%-怒り50%,怒り100%)×3顔色(青みがかった,自然,赤みがかった),およびコントロール条件(普通表情×自然顔色))の日本人モデルの顔画像を実験刺激として使用し,表情判別タスク中の被験者34名(女性6名)の脳活動をfMRIで計測した.現在,脳内で行われる表情知覚処理に顔色の情報がどのように作用し,表情知覚処理が促進させるのかを明らかとするため,計測した脳画像データに対して解析を行っいる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
表情知覚おける顔色の効果が,単なる色の効果ではないことを裏付ける必要性が生じ,当初の計画にはなかった実験を実施したため,やや遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,今年度の研究成果を8月にイギリスで開催される国際会議ECVP2015で発表する. また,日本人被験者の脳画像データの解析を進めると共に,計画通り,対象を多人種に拡張した実験を実施する.
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