2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26880030
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
村上 隆夫 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報技術研究部門, 研究員 (80587981)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 位置情報プライバシー / マルコフモデル / テンソル分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ビッグデータの普及促進に向けたプライバシー保護の研究を推進している.プライバシーに対する攻撃と対策は表裏一体の関係にあるため,対策を十分に施す上で,攻撃の議論を十分に行っておくことは重要である.このことを考慮し,平成26年度では,実用面で特に重要な分野の一つである位置情報プライバシーに着眼し,その攻撃と対策に関する研究で成果を上げた.
まず,位置情報プライバシーに対する攻撃として,最も盛んに研究されているマルコフモデルに基づく攻撃法に着眼した.この攻撃法は,ユーザの行動にマルコフ性を仮定し,遷移行列を学習するものであるが,多くのユーザは普段からそれほど多くの位置情報を公開している訳ではないため,攻撃者が利用できる学習データは現実的には不足する.この問題を解決するため,個人毎の遷移行列を3次元テンソルと見做し,テンソル分解を用いて少量の学習データから効率的に学習する学習法を新たに提案して,実験的に有効性を示した.この成果は,ユーザIDを秘匿したまま認証を行う匿名認証において,例え暗号学的にその匿名性が保証されていたとしても,位置情報を補助情報として用いる攻撃が現実的に脅威となり得る,ということも示唆している.
次に,公開された位置情報を基に,その後の時刻におけるセンシティブな位置情報(自宅,病院など)を予測する攻撃を考え,その対策として,プライバシーと有用性のトレード・オフを最適化する位置情報の曖昧化手法を提案した.具体的には,攻撃者の攻撃成功確率を一定値以下に抑えつつ,曖昧領域サイズを最小化する位置情報の曖昧化手法を提案し,実験的に有効性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テンソル分解を用いた学習法を提案し,実験的に有効性を示すことで,位置情報プライバシーにおける(匿名認証などの暗号学的な対策をもバイパスし得る)現実的な脅威を明確にすることができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
テンソル分解に基づく学習法を位置情報系列に対する個人識別攻撃に適用し,その有効性を検証する.また,その対策も併せて検討する.
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Research Products
(2 results)