2014 Fiscal Year Annual Research Report
定量的血栓測定によるステント血栓化予測に有効な血行力学パラメータの抽出
Project/Area Number |
26882002
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安西 眸 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50736981)
|
Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
Keywords | 脳動脈瘤 / ステント / 血栓 / 血流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は低せん断応力下における血栓生成条件を明らかにするべく,まずin vitro血液環流実験装置の構築に取り組んだ.これまで用いられてきた流れ負荷用チャンバーに対して血流シミュレーションを行った結果,目的とする血栓生成領域外部に置いても低せん断速度領域が発生していることが明らかとなった.したがって,目的とする領域外での血栓生成の可能性が示唆された. そこで流れの剥離によるよどみが発生しないよう,新たなフローチャンバー形状を開発した.この新しいフローチャンバー形状に対して流体シミュレーションを行った結果,流れの剥離が抑えられ,目的とする領域のみで低せん断速度が確認された. さらに,ガスケット厚の調整によって,血栓生成領域におけるせん断速度の調節が可能となった.これにより,流量を調節することで,血行パラメータと血栓生成量を定量的に関連付けることが可能となった. さらに,内皮細胞・異なる金属材料を用いた試験に対応すべく,検査面を着脱可能なシート状にし,走査型電子顕微鏡による表面観察を行った. また,現在ステントに用いられているニッケルチタン合金に着目し,チャンバー内に留置するためのベアメタル・ワイヤーに,コラーゲンコーティング・ワイヤーを作成した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで用いられてきたチャンバーは細胞への流れ負荷のために用いられてきたものであり,血液のような生体反応によって変化する粘度の高い液体には適用が出来なかった.本年度は血栓生成を念頭に置いた,全く新しいチャンバーシステムを開発することができた.さらに,本システムはガスケット及び底面の条件を変えることで様々な血液環流実験へと応用可能であり,本研究において計画する各種実験条件に容易に適用可能である.また,本実験手法は血液に触れる様々なデバイスのための環流実験に広く応用できるものであり,医療デバイスのin vitro評価法の向上にも貢献したものと考える. 次年度において血栓生成箇所を特定する必要があることから,血栓測定のために走査型電子顕微鏡による観察を行うこととした.これにより,環流時間の増加に伴う血栓生成の経時的変化を観察することが可能となり,急性期における医療デバイス周辺の血栓の発達機序の解明に大きく貢献するものと考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
金属表面の血栓生成実験 現在用いられている医療金属(NiTi等)の平板をフローチャンバーに設置し,血液流れ負荷実験を行う.また,高分子コーティングや表面加工を施した辺番,薬剤を塗布した平板についても同様の実験を行い,加工が血栓量に与える影響を評価する.さらに,キャビティ用ガスケットを取り外し,平板上にワイヤー状に加工した金属ワイヤーを固定し,その形状を変化させる.その際の流れ場の変化についてCFD解析を行い,また血栓生成実験を行う.CFD解析によって得られる血行力学パラメータと血栓箇所を比較し,血栓生成に相関関係を持つ血行力学パラメータを選定する. ステント形状・金属量が血栓生成に与える影響の評価 培養した内皮細胞上にワイヤー状に加工した金属を固定し,血栓生成実験を行う.断面の形状やワイヤーの本数を変化させて血栓量の違いを測定する.金属表面のみの実験と血栓箇所を比較することで,細胞-金属間の相互作用による影響の有無を調べる. in vivo動物実験 円筒状に作成したステントモデルを,ヤギ体内に留置する.血管形状および血流情報をin vivo実験の事前に医療用撮像で得ておき,ステント周辺の血流場のCFD解析を行う.一定時間経過後,ヤギよりステントを取りだし,洗浄後血栓箇所を測定する.血栓箇所とCFD解析の結果を比較し,選定した流体力学パラメータが血栓生成に与える影響の検証を行う.
|
Research Products
(15 results)