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2014 Fiscal Year Annual Research Report

出芽酵母の一細胞フェノームによる遺伝子機能と化学物質応答の統計モデリング

Research Project

Project/Area Number 26882019
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

大貫 慎輔  東京大学, 新領域創成科学研究科, 特任研究員 (80739756)

Project Period (FY) 2014-08-29 – 2016-03-31
Keywords出芽酵母 / 一般化線形モデル / 細胞形態 / CalMorph / 表現型解析 / 多様性 / 交絡因子 / ハイコンテントイメージング
Outline of Annual Research Achievements

各形態パラメータにおける確率分布のモデル化
野生型酵母の形態情報(n = 123)を使用して確率分布モデルの検討を行った。501の形態パラメータによって定量された形態情報において、それぞれのパラメータについて複数の確率分布モデルを仮定し、AICでモデル選択を行うことで最適な確率分布モデルを得た。野生型の形態データで得られた確率分布モデルに汎用性があるかどうか確かめるために、既に取得済みの4718の遺伝子破壊株 (Ohya et al, 2005)や37の野生酵母株(Yvert et al., 2013) の形態データに当てはめた。各形態データは全て確率分布モデルが想定する範囲内に分布していたことから、得られた確率分布モデルは様々な条件で得られた細胞形態に応用可能であると考えられた。また確率分布モデルを使用することにより得られるようになったばらつきの指標を用いて遺伝子破壊株と野生酵母の間で比較することで、自然界で蓄積された遺伝子変異よりも遺伝子破壊の方がより多様な表現型を生み出すことがわかった。これらの結果はBMC Genomicsに論文として出版された(Yang et al, 2014)。
交絡因子の検討と統計モデルの構築
形態情報に影響を与える実験的バイアスを特定するために実験条件を詳細に記録しながら野生型酵母のデータを114回取得した。実験的バイアスの原因となる交絡因子を特定するために使用した顕微鏡の種類や状態や撮影時期、細胞を培養したときの増殖量、撮影時の露光時間など様々な条件を検討したところ、顕微鏡の種類と撮影時期の組み合わせによって観察されたバイアスはほぼ説明可能であった。この結果から、使用した顕微鏡の種類と撮影時期の組み合わせによって形態データに現れる実験的バイアスは補正可能であると考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本研究は大きく三つの段階に分けられる。当初の研究計画では、三つのうち二つまでを平成26年度内の計画としていた。これら二つの計画は、(1)各形態パラメータに適した確率分布の決定と、(2)交絡因子と統計モデルの決定である。
一つ目の各形態パラメータに適した確率分布の決定では、野生型の酵母株を使用して形態パラメータの確率分布を決定し、さらに遺伝子破壊株で確率分布の汎用性を確認する計画であったが、さらに37種類の野生酵母も併せて汎用性の確認を行うことができた。それだけでなく、両者の比較により表現型の多様性について解析を行うことで論文としてまとめることが可能となり、国際的な科学雑誌に高い評価得て受理された。
また二つ目の交絡因子と統計モデルの決定では、実験条件の複雑な相互作用が交絡因子となることが予想されたが、顕微鏡の種類と撮影時期という二つの因子のみによって大部分が説明可能であることがわかり、比較的シンプルな線形モデルで交絡因子の影響を排除できた。
最後に、当初の計画どおりに進まない時の対応としてハイスループット顕微鏡の使用を研究計画の段階からで検討していたが、これを平成26年度中に並行して条件検討を進めることでプロトコルとして確立することができた(Okada et al., 2015)。
以上のことから、当初の研究計画で想定されていた以上の成果が得られたものと考えた。

Strategy for Future Research Activity

形態表現型に現れる相互作用と遺伝子機能の相関関係の調査を進める。この調査は三つのテーマに分けられる。
一つ目は、化学物質応答の形態プロファイルと遺伝子機能の相関解析である。化学物質を処理した際の形態変化の濃度依存性と遺伝子破壊による形態的異常性を比較する形態プロファイリング法は既に確立した(Ohnuki et al., 2010)。本研究計画では、従来の順位和を使用したノンパラメトリックモデルではなく、選択した確率分布モデルで濃度依存性を定量するパラメトリックモデルを応用することで、線形モデルによる形態プロファイリングの実行可能性の確認と予測精度の向上を図る。既に取得済みの薬剤処理データと遺伝子破壊株の形態データと比較することで、線形モデルによる形態プロファイリングの実行可能性および予測精度の向上を検証する。
二つ目はCa2+処理とcls変異の相互作用の解析である。既に同定済みのcls変異株はCa2+に感受性を示すことから、破壊された遺伝子の細胞内機能は細胞内外のCa2+と関連する(Ohnuki et al., 2007)。そこで細胞外のCa2+濃度とcls変異の間で相互作用を線形モデルで同定し、cls変異株がCa2+に感受性を示す原因に迫る。
三つ目はDNA合成阻害剤(HU)と液胞酸性化阻害剤(conCA)の相互作用の解析である。Ca2+のように多くの細胞内機能と相互作用する化学物質だけでなく細胞内の単一の機能を阻害することが知られている2つの薬剤を使用して、単純な系での解析も行う。

  • Research Products

    (3 results)

All 2015 2014

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Quantification of Cell, Actin, and Nuclear DNA Morphology with High-Throughput Microscopy and CalMorph.2015

    • Author(s)
      Okada H, Ohnuki S, Ohya Y.
    • Journal Title

      Cold Spring Harb Protoc.

      Volume: 2015 (4) Pages: 408-412

    • DOI

      10.1101/pdb.prot078667

  • [Journal Article] Unveiling nonessential gene deletions that confer significant morphological phenotypes beyond natural yeast strains.2014

    • Author(s)
      Yang M, Ohnuki S, Ohya Y.
    • Journal Title

      BMC Genomics.

      Volume: 15 Pages: 932-943

    • DOI

      10.1186/1471-2164-15-932

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 出芽酵母必須遺伝子の半数以上はヘテロ破壊によりハプロ不全性を示す2014

    • Author(s)
      大貫 慎輔、大矢 禎一
    • Organizer
      日本分子生物学会
    • Place of Presentation
      パシフィコ横浜
    • Year and Date
      2014-11-25 – 2014-11-25

URL: 

Published: 2016-06-01  

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