2014 Fiscal Year Annual Research Report
糖化関連疾病機構解析に向けた細胞内活性炭素種由来糖化経路モニタリング技術の開発
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26882046
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
三上 あかね(坂口あかね) 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (70469782)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞内モニタリング法 / 細胞内糖化 / 転写調節因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは,これまでに大腸菌由来TR(LacI)とGlc/AC 認識蛋白質のキメラ蛋白質である人工転写因子(cTR)を作製し,cTR の動物細胞発現ベクターを,Lac オペレーター(Olac)融合レポーター遺伝子と共に細胞に導入して,細胞内センシング技術を構築した。また,現在,ヒト由来AGEs 応答性SREを利用した細胞内AGEs センシング法の構築を行っている。 H26年度では,これらの技術を利用し,まずゲノムデータベースを用いて,新規RcsRの探索を行った。また新規糖化関連物質応答性転写調節因子様遺伝子を単離し発現用ベクターの構築,および大腸菌を用いた組み換え生産を行った。また,本タンパク質の結合領域と予測されるDNA配列(Putative オペレーター)を検索し,単離後,レポーター遺伝子の前に挿入し,Putativeオペレーター融合レポーター遺伝子コンストラクトの構築を行った。次に、得られた組み換えタンパク質及びPutativeオペレーター融合レポーター遺伝子コンストラクトを用いて,Cell-freeレポーターアッセイシステムによる本糖化関連物質応答性転写調節因子様タンパク質のリガンドの同定,及び認識DNA配列の同定などを試みた。本研究により,本タンパク質が,糖化関連物質応答性転写調節因子であることが示され,また本タンパク質が認識するDNA配列領域が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在、本研究により同定された糖化関連物質応答性転写調節因子を用いた細胞内モニタリングに必要とされる以下の検討及び遺伝子コンストラクトの構築を行っているため,当初,目的としていたH26年度の細胞内RCS/RCS 糖化物認識分子の構築には至っていない。 ①転写調節因子結合領域の最適化…標的物質特異的な動物細胞内モニタリング法として使用する際,オペレーター領域に,宿主由来転写調節因子が結合すると,標的物質非特異的な応答が誘導される。したがって,オペレーター領域を最小(最適)化する必要がある。研究代表者らは,オペレータ最適化の検討を行うためのオペレーター-レポーター遺伝子コンストラクトのヴァリエーションの構築を試みているが,これに時間を要し,まだ,最適化には至っていない。 ②糖化関連物質応答性転写調節因子の動物細胞内発現用ベクターの構築…得られた糖化関連物質応答性転写調節因子は,細菌由来である。このため,動物細胞内での発現に適したコードを有する組み換えタンパク質の構築及び動物細胞内発現用ベクターの構築を行っている。 ③キメラ転写調節因子の構築…研究代表者らは以前の研究において、すでに動物細胞内にて副反応を起こさないことが確認されているLacオペレーター領域を認識するキメラタンパク質を利用することで,簡便な標的物質特異的な細胞内モニタリング法の構築が可能であることを示した。そこで,①の問題を解決するために,本オペレーター配列を認識し,かつ糖化関連物質に応答する転写調節因子として,LacO結合転写調節因子(LacI)と本糖化関連物質応答性転写調節因子のキメラタンパク質の構築及び特性検討を合わせて試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,動物細胞内糖化関連物質モニタリングのために行っている①転写調節因子結合領域の最適化②糖化関連物質応答性転写調節因子の動物細胞内発現用ベクターの構築,及び③キメラ転写調節因子の構築を行う。その後,まず,1)糖化関連物質応答性転写調節因子の動物細胞内での応答性検討,2)副反応の検討,あるいは,3)キメラ転写調節因子を用いた動物細胞内での糖化関連物質応答性の検討,を行う。その後,本技術及び糖化関連疾病モデル細胞を利用して,細胞の形態及び遺伝子発現様式の変化などと比較し,糖化物の細胞機能への影響を評価することで,本技術が細胞内RCS糖化経路モニタリング技術として有用であることを示す。また,他のRCS応答性分子の検索を行い,これらを用いた細胞内モニタリングシステムの構築を試みる。
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